巨人戦でまさかの“想定外” 19歳に巡ってきた初登板…指導者ニヤリ「まあ裏切られた」

巨人戦に登板した楽天・大内誠弥【写真:イワモトアキト】
巨人戦に登板した楽天・大内誠弥【写真:イワモトアキト】

楽天の2年目ドラ7、大内誠弥が巨人戦でデビューした

■巨人 2ー0 楽天(7日・東京ドーム)

“想定外”の内容で首脳陣を唸らせたデビューだった。楽天の2年目、大内誠弥投手は7日、東京ドームでの巨人戦先発でプロ初登板を果たした。物怖じしない投球で4回1安打無失点、3奪三振2四球の堂々たる内容。石井貴投手コーチも「いや、大したもんだね」と脱帽する初マウンドとなった。

「1軍で活躍するには、いつでもどこでもストライクが取れることが重要なので、それはできていたので楽しみなピッチャーだね」

 東京ドームの通路を階段を上りながら、石井コーチが噛み締めた。本来、この日に登板するはずだった荘司康誠投手がコンディションの問題で5日に出場選手登録から外れ、急遽、指名されたのが日本ウェルネス宮城高からドラフト7位で入団した19歳の大内。今季イースタン・リーグ7試合に登板し1勝2敗、防御率1.97の成績で大抜擢となった。

 緊急先発となった右腕は191センチから投げ下ろす140キロ台後半の直球、100キロ台前半のカーブなど緩急を有効に使い、巨人打線に的を絞らせなかった。初回、2回と先頭打者の出塁を許し、ともに得点圏に走者を進められるも、落ち着いて後続を断ち切った。

「高身長から投げ下ろす。基本的にはチェンジアップと縦系の変化球が魅力。アウトを取れるボールもスライダーも持っている。それが結構重要な話でね」。石井コーチが魅力を語った。

石井コーチ「2点くらいは覚悟していた」

 まだまだ、あどけなさが残る19歳が、“大アウェー”の巨人戦でデビューし、4回1安打無失点と躍動する姿は頼もしかった。「いや、大したもんだね。いい仕事したね、うん。2、3イニングで2点ぐらいいかれんじゃないかなって覚悟していたけど……まあ、期待を裏切ったね。いい意味で」と石井コーチは目を細めた。

 ファームでも90球程度しか投げていなかったため、61球で4回を投げ切ったところで交代とした。「いいところで終わろうと監督と相談した。バーッて打たれて代えちゃうと、若いからショックで次の登板でも立ち直れないかもしれないんで」と“親心”ものぞかせた。

「まあ、この先が楽しみじゃない?」。現役時代に「投げる金剛力士像」の異名をとった“コワモテ”の石井コーチがニヤリと笑い、薄暗い関係者通路へと消えていった。救援陣が打たれて試合は0-2で負けたが、逸材が眩しい光を放った価値ある一戦となった。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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