池田陵真のリハビリを支えた2人の右打者 焼き付けた“理想像”「打撃のお手本」

オリックス・池田陵真【写真:小林靖】
オリックス・池田陵真【写真:小林靖】

4年目の池田が約40日ぶりに実戦復帰、胸に秘めた思い

 下半身のコンディション不良で戦列を離れていたオリックスの4年目、池田陵真外野手が復帰し、母校・大阪桐蔭高の先輩で2000本安打を達成した楽天の浅村栄斗内野手と、打撃好調のチームの先輩、太田椋内野手の背中を追う。

「2人とも同じ右打者で逆方向にも打てるし、長打力もあります。目標にさせていただいています」。約40日ぶりに実戦復帰した5月27日、大阪・舞洲の球団施設で池田が静かに口を開いた。

 池田は大阪桐蔭高から2021年ドラフト5位で入団。長打力と右方向への巧打で、2年目にウエスタン・リーグの首位打者と出塁率の2冠に輝いた。目標とする1軍定着を果たすため、2024年シーズン後の自主トレは太田に“弟子入り”を志願。打球速度を上げるトレーニングを積み、4月中旬まで好調を維持していたが、下半身のコンディション不良で戦列を離れた。

 高校時代を含めこれほど長期のリタイアは初めてだった。体が強いこともあり、多少の痛みとはうまく付き合ってきた。しかし、今回は再発防止の意味を含めてリハビリに専念することを決めた。「打つことも、投げることもできるのに、走ることができない」。飛躍を誓って臨んだシーズンだっただけに「何をしているんだろうと落ち込みました」と明かす。

 リハビリ期間を支えてくれたのが2000安打を目指す浅村の存在と、一時は打率4割以上を残していた太田の活躍だったという。同じ「右打者」としてリスペクトする2人。「浅村さんは、逆方向にもホームランが打てますし、もちろん引っ張ってもホームランが出ます。あれだけバットが振れるというのは、すごいと思います。打撃のお手本にさせてもらっています。太田さんも逆方向に打てますし、4割以上の打率をキープしていたのはすごいです」。日々、2人の数字を目で追い、復帰までのイメージとして目に焼き付けた。

 特に、太田の打撃には目を奪われた。「打球速度が上がり、野手の間を抜けていくヒットも増えていたと思います」と池田。同じ取り組みを試合で発揮できないもどかしさが募る一方で、継続して練習すれば自分の打撃も向上する手応えがあった。

「野球ができないということは結果が出ないことより苦しかった。しんどかったですね、この1か月ちょっとは。ただ、試合では感覚のズレはありませんでした。これから巻き返します」。LINEで試合復帰を報告した浅村からは「頑張れよ」と激励を受けた。死球で1軍選手登録を抹消された太田とは、ファームで再び打撃について語る機会を得た。辛い時期を乗り越え、先輩の背中を追いバットを振り続ける。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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