守護神の座譲り「もどかしい思い」も… DeNA森原康平が明かした胸中「そんな甘くないよな」

奄美キャンプで入江と誓い「『年間投げ抜こうな』っていう話をしていた」
離脱すれば、あっという間にその“席”は別の人のものになる。プロ野球界では日々それが繰り返されている。昨季、日本一の胴上げ投手となったDeNAの森原康平投手すらも、だ。自分がいるはずの場所で躍動する若手たちに向ける目は優しく、そして燃えていた。
「最初は『うわ、僕が昨年投げていたのに』っていうもどかしい感じでした。でも客観視して見たときに『そんな毎年うまいくわけないだろう。そんな甘くないよな』ってところに落ち着いたんです。球界を見渡しても、何年も連続で最後を投げられるほど甘い世界じゃない。だからもう一回頑張ろうって思えたんです」
2022年途中に楽天からトレードで加入して、直近2年間で46セーブを挙げた。しかし今季は右肩違和感により出遅れ。4月17日に待望の昇格を果たしたが、6試合で防御率7.50と状態は上がらず、5月11日に再調整となった。チームでは今、右肩手術の影響で昨年は実戦登板がなかった入江大生投手が最終回のマウンドに立ち、ここまで12セーブを挙げている。
「入江本人には言ったんですけど、怪我せず投げ抜いてほしいなっていうのが一番です。(鹿児島・奄美でのファームの)春季キャンプはずっと一緒にトレーニングをしてフィジカルを鍛えながら『年間投げ抜こうな』って話をしていたんです。リハビリをやっていたのも見ているし、僕も肩を痛めていろいろな話をした。ポジションはライバルですけど、頑張っている人は好きなので、入江が年間できたら僕もうれしいです」
「今年の最後にまたあそこで投げている、そういう未来を信じてやっている」
現在ファームでは、平均球速の向上と、それに伴う奪三振増を課題に腕を振る。今季の1軍での平均球速は145.7キロ。「投げられるようになって、2軍で抑えて(1軍に)昇格させてもらったんですけど、1軍に行くともう一個あがるかなと思っていたものが意外にこなくて、上がらないなというままでした」と足りない部分は明確だった。
“もう一個”は近いと感じている。「何かのキッカケだと思います。測定とか細かいデータも割といいですし、練習の感覚もいいなって最近なってきたので」とうなずいた。
1軍の試合をチェックしながら、入江ら若手の奮闘にも刺激を受ける。でも1軍に戻れば、狙うのはもちろん最終回のマウンドを奪い返すことだ。「モチベーションって保っておかないといけないので、今年の最後にまたあそこで投げていることを目標というか、そういう未来を信じて、想像してやっている感じです」。現実を受け入れながら、前向きに進む森原らしい言葉だった。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)