「なんでやめた?」の一言が生んだプロ初勝利 寺西成騎の背中押した2軍監督の言葉
オリックス・寺西成騎【写真:北野正樹】オリックス・寺西の初勝利を呼んだ2軍指揮官の“言葉”
思いがけない言葉が、活路を開いた。オリックスのドラフト2位・寺西成騎投手が風呂場で聞いた波留敏夫2軍監督の一言で、本来の投球を取り戻し、プロ初勝利を挙げることができた。「いきなり『なんで2段モーションをやめたんや』と聞かれて。なんと返事したかも忘れたんですが、ずっとやってきたフォームに戻そうと思いました」。寺西が背筋を伸ばし“運命の日”を思い出した。
寺西は星稜高、日体大から2024年ドラフト2位でオリックスに入団。3月8日の巨人とのオープン戦(京セラドーム)で2回を30球、被安打3、無失点で先発デビューを果たし、ウエスタン・リーグで経験を積んでいた。
波留監督から声を掛けられたのは、5月下旬。大阪・舞洲の球団施設だった。湯船に入ってきた指揮官に、2段モーションをやめた理由を尋ねられた。「監督がそんなところまで見てくださっているとは思ってもいませんでしたから、答えを持ち合わせておらず、しどろもどろになってしまって」と寺西は苦笑する。
波留2軍監督「何も悪いところがないのに、なんで変えるのかな」
そんな時に聞いた監督の言葉に、「ずっと2段モーションを続けてきたから、ここまでくることができたんだと気付きました」。2段モーションに戻したことで出力が上がり、5月15日の日本ハム戦(エスコンフィールド)のプロ初先発初登板につなげることができた。
「出力が上がっていなかったので気になって、ピッチングコーチとも話していたんです。何も悪いところがないのに、なんで変えるのかなって。ちょっと(フォームの)無駄が多いという返事だったのですが、ええもんを持っているからプロに入ってきてるんやから、それを変えてまでやる段階じゃないだろうと。変えるのは壁にぶつかった時で良いといいました」と波留2軍監督は説明する。
「教えたくなってしまうから」と練習中は外野に立ちっぱなしで、選手の動きだけでなく、コーチの指導にも目を配る。「ピッチャーのことはよくわかりません」と言いながらも、映像やデータを入念にチェックしているからこそ、選手のフォームやコンディションなどの変化も見逃さない。
(北野正樹 / Masaki Kitano)