西川龍馬が痛感した“自分の弱さ” 1000安打達成、迷いなき打席で得た「収穫」

淡々と安打を積み重ねる中でも狙っていた一発
オリックスの西川龍馬外野手が、着々と安打を積み重ねチームの勝利に貢献している。
「ノン・プレッシャーですね。そこに関してはキャンプから一緒ですね。全くないです」。通算1000安打を達成した数日後、西川が爽やかな笑顔で口を開いた。
プロ10年目の今季、5月25日のソフトバンク戦(鹿児島)で通算1000本安打を先制2ランで飾るなど、交流戦までの打率は.287。交流戦1カード目の広島戦を終えた段階では.288でリーグ4位の高打率をキープしている。
好調の秘密を西川は「オープン戦終盤に、これを続けていけばいいという、感覚をつかんだこと」だと明かす。広島から国内フリーエージェント(FA)権を行使し、移籍した1年目は、交流戦前までの打率が.223。どのコースのボール対してもフェアゾーンに落とす巧みなバットコントロールを誇るだけに、低迷したのは技術面より、メンタル面の方が大きかったようだ。
「(パ・リーグの)要領もわからんし、やらなアカンというのもあった。考え過ぎというのもありました」と明かす。結果を残してチームに貢献しなければいけないという責任感が、バットを鈍らせていた。
チーム事情で2番、3番、5番と打順は変わっても、淡々と安打を重ねる西川だが、「1000本安打」を巡り、“自分の弱さ”を痛感したという。
5月20日のロッテ戦(京セラドーム)で3安打を放ち王手をかけたが、2試合連続して無安打に終わった。本拠地での偉業達成を逃したことに「自分は、まだまだやな、と思いました」。続けて「1000本をホームランで決めたかったというのがあって、そこでやっぱりできなかった」と。ファンに、記録にも記憶にも残る一発を披露できなかった自分を責めた。
「打席で迷いはなかったのです。そこで弱さを感じたのは収穫でした」。過去4度、打率3割以上を記録し“天才打者”と称される西川が、高みを目指すバットマンらしい言葉で締めくくった。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)
