「俺にかけてくれよ!」若月健矢に意外な“悩み” 3度目のサヨナラ打で注目が急上昇中

オリックス・若月健矢【写真:栗木一考】
オリックス・若月健矢【写真:栗木一考】

2度目の球宴へ狙うファン投票1位

 オリックスの“サヨナラ男”若月健矢捕手が、「マイナビオールスターゲーム2025」のファン投票での初選出に向け、快進撃を続けている。

「もちろん出たいという思いはあります。(ファン投票1位という)そういう形で選ばれたらというのはあります」。5月下旬、大阪・舞洲の球団施設で行われた全体練習の後、若月が静かに口を開いた。

 あれから2週間余り。6月16日現在、パ・リーグ捕手部門で若月は40万8965票を獲得、2位の日本ハム・田宮裕涼捕手の25万7507票を大きく引き離した。選ばれれば補充選手として出場した2023年以来2度目で、ファン投票では初めてとなる。

 2025年の球宴は、7月23日に京セラドーム、同24日に横浜スタジアムで開催される。ファン投票には、本拠地開催の“ご祝儀相場”も若干は含まれることが予想されるが、ほとんどは今季の若月の活躍が支持されているといっていい。

 今季のサヨナラ打は、すでに3度。3月28日の楽天戦(京セラドーム)、4月18日の日本ハム戦(同)、5月20日のロッテ戦(同)ではソロ本塁打で3度目のサヨナラ劇を飾った。

 5月度の「スカパー! サヨナラ賞」を初受賞した。ロッテ戦では「先頭打者だったので、出塁することだけを考えていた」と自然体の打撃を強調した若月。「僕に(お祝いの)水をかけてくれるのかと思ったら、みんな勝手に水の掛け合いが始まって。俺にかけてくれよ!って、思ってました」と、サヨナラ3度目らしい悩みも打ち明けた。

 捕手としての悩みもある。「9回表で終わらせるのが理想。捕手としては9回裏を迎えるのはよくないことなので」と若月。

 早出特打の常連だ。2キロ以上の鉄の棒を素振りに使う。勧めた川島慶三・1軍打撃コーチは「重いバットを振ると、体の軸ができるんですよ。体幹の中から、骨から打つみたいなイメージですね、細かいことをいえば。フラフラせず、しっかりと骨1本1本使えるようにやってます。彼は体がめちゃくちゃ強い人で、練習する体力もある人ですから彼は使えると思います」

“サヨナラ男”の異名に若月は「これで定着したら(試合の)終盤で代打を送られることもなくなりますね」と言いながらも、「いい場面で打てるというのはうれしいのですが、そんなに打撃成績はよくないのでもっと精進して練習に取り組んでいきたい」と、打撃向上に向け決意を新たにしていた。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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