「なんで諦めるんだ」に込められた監督の思い 甲子園出場目前でこぼれ落ちた白星…東亜学園の覚悟
選手たちへメッセージ送る東亜学園・武田朝彦監督【写真:編集部】効率と集中を生む「全力疾走」の徹底
道具を取りに行く時も、練習間の移動も、すべて全力疾走。「楽をするなら練習から外れろ」――。武田朝彦監督の厳しい言葉が飛び交う中、選手たちは必死にノックを受け続ける。春季東京大会で初優勝を飾った東亜学園(東東京)の練習現場には、2016年と2023年、2度も甲子園の切符を目の前で逃した悔しさを知る選手たちの執念が宿っていました。神宮球場と同じ土を導入した充実の練習環境、外部コーチによる科学的なトレーニングなど学校側の手厚いサポートを受けながら、今度こそ甲子園の夢を掴めるのか――。
フリーアナウンサーの豊嶋彬です。東京の令和の高校野球を取材しています。東京も6月14日に抽選会が終わり、いよいよ夏本番です。東東京の注目は春季大会で初優勝を飾った東亜学園。同校の練習を取材するため、小平総合グラウンドを訪れました。
中野の本校舎から西武新宿線で移動するこのグラウンドで、午後4時頃から部員たちが到着し、まずは着替えと捕食タイムでそれぞれ栄養補給をして練習への準備を整えます。
武田監督の厳しい指導と選手たちの必死な姿勢
次はシートノック。これもみっちり時間をかけて行われました。武田監督がノッカーを務めるのですが、厳しい言葉が飛びます。「なんで打球が遅れたからって諦めるんだ」「楽をするなら練習から外れろ」「そんなエラーしてたら夏勝てないぞ」。発破をかけられながらも、メンバーたちは必死にノックを受けていました。本当に試合で一つアウトを取るために、日々これだけ練習をしているのだと強く感じました。
驚いたことに、この日はバッティング練習をせず、ほぼ守備練習で終了。かなり守備を大事にしているのが印象的でした。18時過ぎまでみっちり時間をかけて行われたシートノックでグラウンド練習は終了し、その後は併設された体育館の地下に移動してウェートを中心としたメニューに取り組みます。この施設環境にも驚かされました。
体育館の地下には人工芝が敷かれ、バッティング練習もできる立派な室内練習場があります。行われているウエイトも外部コーチの専門家の指導のもと、部員ごとにメニューが異なります。定期的に測定日を設けて、それぞれに結果のチャート表が作成され、項目ごとの成長や課題を可視化しているそうです。実際にグラフで弱いところ、強いところがしっかりとわかるようになっていました。
上田恭平部長のお話では、この室内練習場は2年ほど前に学校が力を入れてリニューアルしてくれたそうです。その他にもグラウンドのマウンド、バッターボックス、ブルペンに神宮球場と同じ良い土を導入してくれたとのこと。甲子園出場へ向けた学校側からのバックアップも非常に手厚く、だからこそ甲子園に出て恩返しがしたいという思いも語っていらっしゃいました。
私がJCOMの高校野球ダイジェストの番組MCを務めた最初の年の2016年、夏の東東京大会決勝に進んだのが東亜学園でした。相手は関東一高。延長までもつれたもののサヨナラ負けで甲子園を目の前で逃がしたのです。また2023年の決勝では共栄学園に9回2死までリードしていながら逆転負け。この悔しさを知る当時の1年生が今年の3年生です。佐藤海斗捕手は2年前の決勝の舞台に立っており、甲子園の難しさを知っているからこそ、この練習に取り組む真摯な姿勢なのかもしれません。
春の王者として臨む東亜学園の夏の甲子園への挑戦。チームのルールを徹底し続けて夢をつかむことができるか、楽しみに注目したいと思います。
(豊嶋彬 / Akira Toyoshima)

