違うチームでも「早い回復を」 茶野篤政が「一緒に盛り上げよう」と誓った“約束”

オリックス・茶野篤政(左)と中日・福永裕基【写真:北野正樹】
オリックス・茶野篤政(左)と中日・福永裕基【写真:北野正樹】

滋賀で同じ少年野球チームの出身

 オリックスの育成出身3年目の茶野篤政外野手が、「郷里を盛り上げよう」と誓い合った中日・福永裕基内野手のけがによる再離脱を受け、今季初の1軍昇格に向け新たな思いで取り組んでいる。

「同郷ですし、先輩ですから成績などはいつも気になります。1軍に復帰されたと知って安心し、僕も早く同じ舞台に立ちたいと思っていたのですが。早い回復を願っています」。茶野が沈痛な表情で口を開いた。

 ともに滋賀県八日市市(現東近江市)出身。年齢は福永が4歳年上で、少年野球の「竜王ジャガーズ」では入れ替わりでプレーした。プロ入りは同期。福永が天理高、専大、日本新薬から2022年ドラフト7位で中日に入団し、茶野は中京高、名古屋商大、四国ILの徳島インディゴソックスから同年育成ドラフト4位でオリックス入りした。

 茶野は春季キャンプ、オープン戦で俊足好打と堅実な守備を評価され、1年目の開幕直前に支配下入りした。福永は2年目に規定打席には達しなかったが、111試合に出場して打率.306でレギュラーに定着。今季から背番号も「68」から「7」に変更した。

 3月18日オープン戦、ソフトバンク戦(みずほPayPay)での二塁守備で右膝を負傷。内側側副靭帯損傷で戦列を離れていたが、5月18日のウエスタン・リーグ、阪神戦(蒲郡)で実戦復帰し、同24日に1軍昇格を果たした。

 ところが、復帰2戦目の同27日のヤクルト戦(神宮)で、本塁へヘッドスライディングした際に左手首を痛めた。「左手関節の骨折」と診断され、1軍選手登録を抹消されてしまった。

 創設25年近い竜王ジャガーズからのプロ入りは、2人が初めて。同郷で同じ少年野球チーム出身とあって、互いに気になる存在だ。昨年末の「滋賀県出身プロ野球選手会」(則本昂大会長=楽天)主催の野球教室で顔を合わせた際に、福永は「意識しているというか、試合結果は見ますね。一緒に活躍していたら刺激になりますし、自分も頑張らなくてはいけないと思います」といい、茶野は「シーズン中はじっくりと見る余裕はあまりないんですが、(成績は)すごいです」。東近江市主催の野球教室では、2人で子どもたちに指導し郷里の野球振興にも貢献。「活躍することで、東近江市を盛り上げよう」と誓い合った仲だった。

 茶野は今季、新人の麦谷祐介外野手や山中稜真選手(登録は捕手)の台頭もあり開幕1軍を逃し2軍での生活が続いている。開幕直後は低迷していた打撃も、4月以降はマルチ安打を含めコンスタントに安打が出るようになって、以後は打率3割前後をキープ。福永復帰後の5月20日からの4試合で3度3安打と2安打をマークし、5月29日現在で打率はリーグ2位の.318、10盗塁は同3位と結果を残している。

「ちゃんと準備ができて、初球から積極的にバットが振れているだけ。考え過ぎず、思い切って振っていくしかないと思っています」。福永の早い回復を願いながら、層の厚い外野陣に食い込むため好調を維持して呼ばれる日に備える。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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