ハム柳川大晟、セーブ機会に起きた“気持ちの変化” 21歳が経験した「打たれる怖さ」

計18回2/3を投げ24奪三振「変化球の精度、直球の質がよくなった」
飄々と投げる姿は、高卒4年目とは思えないほどだ。日本ハムの柳川大晟投手はここまで20試合に登板して防御率1.45、5ホールド2セーブ。計18回2/3を投げ24三振を奪っており、奪三振率は11.57を誇る。昨年5月に支配下に昇格した21歳は、今やチームに欠かせない存在だ。
昨年の奪三振率8.18から大きく数字を上げた理由について「変化球の精度がよくなったのと、真っ直ぐも昨年に比べて質がよくなったと思います」と分析する。コーチ陣から横振りになっていることを指摘され、縦の意識を高め「叩くイメージ」で腕を振ることで、キレが増した。
元々、三振へのこだわりは強かった。191センチの長身から投じる直球は150キロを超え、カットボールやフォークで打者を翻弄する。「三振が一番、エラーとかのリスクも減るので、三振を取れるのが一番いいと思っているので」。それだけに「いい感じだとは思います」と現状に手応も口にした。
17日の巨人戦(東京ドーム)では今季初セーブをマーク。同戦までの3試合は、アウト3つを全て三振で奪う離れ業も見せた。21日の中日戦(バンテリンドーム)では無死二塁のピンチを招きながらも失点は許さず、2セーブ目を手にした。
同学年でドラフト同期の達が“無双状態”「刺激になるところはあります」
昨季は田中の2軍調整時に抑えとして8セーブを挙げているが、9月以降は失点を重ねて最終的には防御率4.09に終わった。今季久々に上がった“最終回”に気持ちの違いがあったという。「昨年は打たれる怖さとかを何も知らずにボンボン投げていたんですけど、そういうことをいろいろ経験して、ちょっと冷静に投げられるようになった気がします」。若さや勢いだけではない。場数を踏んで確実に強さも増している。
2021年育成ドラフト3位で入団。同年支配下の1位だった同学年の達孝太投手は昨季プロ初勝利を挙げ、今季は5試合で4勝0敗、防御率0.54と躍動している。「先発と中継ぎで違うんですけど、同学年なのでそこは刺激になるところはあります。投げている場所が違うので、一緒に頑張れたらいいなと思います」と同期の存在も力に変える。
日本ハムは交流戦11勝7敗で貯金を増やし、依然としてパ・リーグ首位を走る。リーグ戦再開後も若き力がチームを押し上げていく。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)

