宮城大弥の取り組みに沖縄の企業が共感 「アスリートもち」が広げる支援の輪

オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】
オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】

宮城の思いに共感した沖縄県の「誠もち店」が開発

 オリックス・宮城大弥投手が、父親の享さんと始めた「宮城大弥基金」の支援の輪が広がりをみせている。5月から、趣旨に賛同した沖縄県内の餅製造販売会社がスポーツ選手向けのエネルギー補給にもある「アスリートもち」を発売し、売り上げの一部を基金に寄付している。

「基金に協力していただいて、ありがたいです。おいしいお餅ですし、いいサイズ感で食べやすかったです」。宮城が基金の広がりに感謝した。

「一般社団法人 宮城大弥基金」は、2022年2月に設立。プロ入りするまで遠征費の捻出などに苦労した経験から、享さんが「大弥はいろんな人の支えもあって野球を続けることができてプロ野球選手になれた。その恩返しをしよう」と提案。経済的な理由で野球を断念しなければならない子どもたちへの支援が、2023年4月から始まった。

 基金の原資は、宮城の奪三振1つにつき1万円や、アンバサダーを務めるスポーツメーカー・ミズノの契約金のほか法人や個人からの寄付。そこに加わったのが、「アスリートもち」だ。

 宮城の取り組みに共感した沖縄県本部町の餅製造販売「誠もち店」の比嘉誠社長が、手軽に効率よく高エネルギーを摂取できる餅をスポーツ選手の補食として開発した。糖質を補給することで運動のパフォーマンス向上が期待できるほか、脂質が少ないため消化の負担が軽く運動の前・中・後やシーズンを問わずに栄養分を補給できるのが特徴だ。

 宮城の母校、興南高で寮監を務めていた享さんも、補食として食堂に餅を用意していた経験から、餅の効用を理解しており、3月29日の京セラドームの楽天戦の場内で販売も行った。享さん、母親の礼子さんも比嘉社長らと店頭に立ってPRをし、6月13日の巨人戦での2度目の販売には、妹でタレントの弥生さんも駆けつけ、ファンの写真撮影にも応じて商品をアピールした。

 野球関係者にも「アスリートもち」の存在が広がりつつある。社会人野球クラブチーム「ショウワコーポレーション」(岡山県美作市)の福島章太投手もその一人。享さんと親しい、高校の先輩から送ってもらったのがきっかけで商品を知り、都市対抗大会予選を前にしたチームに、差し入れとして購入した。「めっちゃおいしいですよ。これまではプロテインやゼリー、バナナなどを摂っていたのですが5回終了時にはアスリートもちを食べています。野手もおいしいと言って食べてくれています。基金に役立ってうれしい」と話す。倉敷工から2020年ドラフト4位で中日入りし、現在はNPB復帰を目指す左腕にとって、必須アイテムになっている。

「アスリートもち」は、沖縄県内のスーパーで店頭販売しているほか、通販も取り扱っている。比嘉社長は「フードマイスターさんたちがいろんな野球チームに声をかけてくださったりして注文をいただいています。アスリートもちを食べてもらうことで基金のことも知ってもらえます。一人でも多くの子どもたちを支援できるように協力していきたい」と、支援の広がりに期待を寄せていた。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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