交流戦2度目の珍事…1位から6位をパ球団が独占 “前例”2010年との2つの共通点

パ全球団が交流戦で勝ち越し、1位〜6位に入るのは15年ぶり2度目
2025年の交流戦ではパ・リーグ全球団が勝ち越しを作り、1位から6位までの順位を独占する結果となった。この2つの記録が達成されたのは2010年以来15年ぶり2度目と、2005年から始まった交流戦の歴史においても非常に希少な現象が起きた。今回は2010年の交流戦の各球団の成績、ならびに同年のパ・リーグで記録された最終成績を確認。大混戦となった当時のパ・リーグの順位争いをあらためて振り返るとともに、今季も15年前と同様に熱い戦いが繰り広げられることに期待を寄せたい。
ロッテが開幕からスタートダッシュに成功したが、西武とソフトバンクも徐々に調子を上げていき、シーズン序盤は三つ巴の首位争いが展開された。その一方で、前年のリーグ王者である日本ハムは開幕から苦戦を強いられ、交流戦前の段階では上位3チームと下位3チームがはっきりと分かれる状況となっていた。そんな中で行われた交流戦では、パ・リーグの球団が史上初めて1位から6位までを独占した。
オリックスが16勝8敗で交流戦初優勝を達成し、当時22歳のT-岡田氏が交流戦MVPを受賞。最終的に同年の本塁打王にも輝いた若き主砲は、交流戦を契機に大ブレイクを果たした。また、2位の西武が14勝10敗、3位のソフトバンクと4位のロッテはいずれも13勝10敗1分けと、当時首位争いを繰り広げていた3球団は交流戦でも上位に入った。それに加えて、5位の楽天も13勝10敗1分けという成績を残し、前年にリーグ2位と躍進を遂げたチームの地力を示した。リーグ戦では6位に沈んでいた日本ハムも12勝11敗1分けと勝ち越しを作り、シーズンを好転させるきっかけを掴んでいる。
リーグ戦再開後も西武、ソフトバンク、ロッテの3球団による優勝争いが続いたが、ロッテは夏場以降に失速。終盤戦では好調を維持する西武が首位を走り、ソフトバンクが僅差でそれを追う構図となった。楽天は交流戦終了後もチーム状態を大きく好転させるには至らなかったが、日本ハムは前年王者として本来のチーム力を発揮し、大きく成績を向上させて徐々に順位を上げていった。さらに、交流戦優勝を果たしたオリックスも勢いそのままに好調を維持し、Aクラス争いも熾烈さを増していった。
9月に入ってからはロッテが優勝争いから完全に脱落する一方で、首位を走る西武は引き続き好調を維持。マジック「4」と優勝目前といえる状況まで持ち込んだうえで、敵地でソフトバンクとの首位攻防3連戦を迎えた。ところが、本拠地で行われた天王山でソフトバンクが同一カード3連勝を果たし、両チームは一気に0.5ゲーム差まで接近。完全に勢いづいたソフトバンクはその後順位を逆転させて首位の座に立ち、劇的な逆転優勝を達成。両チームの間にゲーム差はなく、明暗を分けたのは勝率わずか2厘の差だった。
2010年はAクラス争いも熾烈…シーズン最終戦で執念の勝利
その一方で、日本ハムとオリックスも終盤戦において好調を維持し、ロッテの失速も相まってAクラス争いも熾烈を極めることに。3球団が競り合いながらシーズン最終盤を迎えたが、勝負所で調子を落としたオリックスは借金生活に転じ、Aクラス争いから脱落を余儀なくされた。シーズン最終戦はロッテがオリックスに勝てば自力で3位を確保、敗れれば日本ハムが逆転でAクラス入りという、まさにシーズンの成否を分ける一戦となった。ロッテは極限の状況で迎えた一戦で執念の勝利を飾って3位を勝ち取り、日本ハムは猛追及ばず、わずか0.5ゲーム差でAクラス入りを逃すことになった。
最終成績は1位のソフトバンクから5位のオリックスまでのゲーム差が7.5、4位の日本ハムが7個の貯金を作り、5位のオリックスも借金は2つにとどまった。上位から下位までが非常に接近しており、Bクラスに沈んだチームも例年であればAクラス入りを果たしうる成績だったという点にも、交流戦で各球団が貯金を作った影響が表れていた。熾烈な争いを勝ち抜いてわずかな差でAクラス入りを果たしたロッテは、クライマックスシリーズで西武とソフトバンクを相次いで敵地で撃破。勢いのままにセ・リーグ王者の中日と相対した日本シリーズも勝ち抜き、「史上最大の下克上」と呼ばれたシーズン3位からの日本一を達成している。
今季も交流戦終了時点で4位の西武が6つの貯金を作っており、5位の楽天も借金は2つと挽回は十分に可能な状況だ。首位から4位までわずか3.5ゲーム差と各チームが非常に接近している点、交流戦で各チームが貯金を作った影響でBクラスのチームも好成績を残している点は、ともに2010年シーズンと共通する要素となっている。最後の最後まで熾烈な争いが繰り広げられた“前例”と同じく、今季もシーズン最終盤まで激しい戦いが繰り広げられることになるか。レギュラーシーズンが再開されて以降も、2010年のように最後まで目が離せない順位争いが行われることに期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)