なぜ大谷翔平は得意の6月で停滞した? “自己最低”の3つの指標…終盤に見せた光明

ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】
ドジャース・大谷翔平【写真:ロイター】

6月は打率.265、7本塁打…2021年以降では“ワースト”級の数字だった

 確かな“異変”が数字に現れていた。ドジャース・大谷翔平投手は6月を終えて83試合に出場し、ナ・リーグトップの29本塁打、OPS1.021と、今季も圧倒的な成績を残している。しかし、例年得意としてきた6月は、打率.265、7本塁打と“大谷らしからぬ”数字に終わった。データを紐解くと、鍵となるのは“自己ワースト”となった「93.3」が一因と言えそうだ。

 大谷は過去に2021年、2023年の6月に月間MVPを受賞。まさに6月男と言える活躍を見せてきたが、今季はやや様相が異なる。むしろ5月に絶好調を迎え、27試合で打率.309、15本塁打、27打点、OPS1.180と爆発し、納得の月間MVPを獲得。その勢いで6月に突入したが、ファンの期待とは裏腹に、まさかの“急ブレーキ”がかかる展開となった。

 6月2日(日本時間3日)のメッツ戦で23号を放ったものの、そこから10試合連続でノーアーチ。14日(同15日)のジャイアンツ戦では、初回の先頭打者アーチに加え、外角のボールを軽く振っただけに見える一振りでスタンドへ運ぶ驚愕の2発を放ち復調気配を漂わせたが、その後も7試合連続不発とスランプが続いた。それでも月末には5試合で4本塁打を固め打ちし、ライバルたちとの差を再び広げた。

 では、6月のバットには何が起きていたのか――カギとなる数字が「93.3」「11」「52.9」だ。

 まずは「93.3」。大谷の最大の武器は、メジャー屈指の打球速度が生み出す破壊力だ。今季の平均打球速度は95.2マイル(約153.2キロ)で、ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手らを抑えてメジャー全体で2位。特に5月は96.7マイル(約155.6キロ)と驚異的な数値を記録した。ところが6月は一転、93.3マイル(約150.1キロ)にまで下降し、750球以上を記録した選手の中では17位と失速した。

 この「93.3」は、二刀流が本格開花した2021年以降の6月としては自己ワースト。さらにハードヒット率(打球速度95マイル以上)も「52.9%」と、同期間で最低を記録した。加えて、打球角度も「11度」と最も低かった。ホームランを放つには角度が不可欠であり、打球に力と角度の両方が欠けていたことが、不振の一因と見られる。実際、6月の月間打率は.265だったが、打球速度や角度などから算出される期待打率(xBA)は.227。数字上は運にも助けられていたことが読み取れる。

 とはいえ、そこは大谷。6月22日(同23日)以降は、平均打球速度95.0マイル(約152.8キロ)、平均打球角度19度と回復傾向を見せている。ハードヒット率も変わらず52.9%ながら、内容は確実に上向いている。投手としてのリハビリが前倒しされ、多忙な日々を送りながらも、これだけの数字を残したのは驚異的と言っていい。

 オールスター戦を控える7月、大谷はどのような形で前半戦を締めくくるのか。“不振”の6月を経て、再びギアが上がる気配は漂っている。

(Full-Count編集部)

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