密かに的中した山本由伸の予言 熱投直後に「え?」…LA沸かせた98球「気遣いの1分間」

Wソックス戦に登板したドジャース・山本由伸【写真:Getty Images】
Wソックス戦に登板したドジャース・山本由伸【写真:Getty Images】

山本由伸に“遅れた挨拶”…「いつの間に?」

【MLB】ドジャース 6ー1 Wソックス(日本時間2日・ロサンゼルス)

 熱狂の余韻に浸るロサンゼルスの夜、恐る恐ると“遅れた挨拶”に向かった。ドジャースの山本由伸投手は1日(日本時間2日)、本拠地でのホワイトソックス戦に先発し、7回3安打1失点の投球で今季8勝目を掴んだ。気迫の98球を投じた直後のクラブハウス。大勢の記者団に囲まれ“雲隠れ”のようになっていたが、ふと目が合った。

「え……? 何してるんですか……? いつの間に?」

 輝く目は、いつもと変わらなかった。5月中旬のマイアミ遠征で告げられた「またどこかで会いましょうね!」の約束。あれから1か月半。「すみません、すぐに会いに来てしまいました……」と胸中を“白状”すると、26歳は爽やかに笑っていた。

「最近、話してたんですよ。昨日かな? もうすぐ来るんじゃないかなって、園田さん(通訳)と。今日来たんですか? 噂をすれば……ですね。本当に来た(笑)」

 日本時間1日にロサンゼルス行きの飛行機に乗り、到着したのは現地1日(同2日)。午前中に荷物を宿に置いて、すぐドジャースタジアムに向かったが先発登板日とあり、試合前練習中の挨拶は“自重”した。挨拶が遅れたことについては山本も「さすがに、ね(笑)」とにこやかな表情で向き合ってくれた。

 どんどん手の届かないところに突き進んでいる気がする。ロサンゼルスの空港に飛行機が着陸し、向かった入国審査。「何を目的にアメリカへ?」とスタッフに尋ねられたので、パスポートを預けて「ライターです。山本由伸に会いに来ました」と伝えた。

 スタッフの顔色は一瞬で変わった。「ヤマモトね! 凄い投手。大谷も凄いけど、彼も凄い。日本人の活躍でチームは勝利を重ねているよ!」。時差ボケで眠たい目を擦りながら、内心では思い切り胸を張った。

 7回98球3安打1失点の投球で、昨季の7勝を上回る8勝目をマーク。帰路に就く“最後の一言”も気遣いを感じた。「今日はもう、早く帰りましょっ」。たとえフライトが何時間であっても、苦にならない。そんな1分間だった。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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