大谷翔平は勝負弱い? 真っ向から“否定”される最強数値…大事な場面で輝く「1.345」

得点圏打率.226は規定158打者中の119位だが…
【MLB】ドジャース 6ー1 Wソックス(日本時間2日・ロサンゼルス)
得点圏打率.226――それでも大谷翔平は“勝負弱くない”。ドジャース・大谷翔平投手は、1日(日本時間2日)のホワイトソックス戦で今季30号に到達。ナ・リーグ最速で大台に乗せ、3年連続の本塁打王も視野に入ってきた。そんな中、「得点圏で打てない」という声が一部で聞かれている。たしかに、得点圏打率は.226と規定打者158人中119位にとどまる。しかし、数字の裏側を見れば、“真の勝負強さ”が浮かび上がってくる。
今季序盤、大谷は得点圏で結果を残せなかった。今季初タイムリーは4月16日(同17日)のロッキーズ戦。4月終了時点で得点圏打率は17打数2安打の.118、本塁打はゼロ。全体でも7本塁打、10打点にとどまった。5月8日(同9日)に11号を放つと、米データ会社「オプタ・スタッツ」は「5月以降、本塁打・長打・総塁打でトップ5に入りながら、打点で90位以下は1920年以降で初」と異例の傾向を報じた。
その後、好機でも打てるようになったが、現在の55打点はメジャー全体16位。同僚アンディ・パヘス外野手(57打点)にも及ばない。得点圏での本塁打はわずか3本。得点圏打率.226という表面的な数字だけを見れば、「チャンスに弱い」と見なされてもおかしくない。
しかし、得点圏打率は“場面の重要性”を加味していない。たとえば、大量リード時のタイムリーも、サヨナラの一打も「1本のヒット」として同列に扱われる。この限界を補うのが、セイバーメトリクスにおける「LI(Leverage Index)」という指標だ。これは「その打席がどれだけ勝敗に影響するか」を数値化したもので、特に“重要な場面”は「High Leverage」として区分される。
そして、大谷はこのHigh Leverageで圧倒的な強さを誇る。米分析サイト「ファングラフス」によると、High Leverage時のOPSは「1.345」。これはメジャー全体トップで、33本塁打のカル・ローリー(マリナーズ)らを大きく引き離している。この場面での打率は.421、出塁率.556と圧倒的だ。
実際に放ってきた本塁打にも「価値ある一撃」が多い。4月2日(同3日)のブレーブス戦では劇的なサヨナラ弾。5月9日(同10日)の敵地ダイヤモンドバックス戦でも、11-11の同点の9回に勝ち越し3ランを放ち勝利に導いた。先頭打者弾も8本を記録しているが、いずれもビハインドの状況を打開する同点弾や、試合の流れを変える先制弾となっている。
「本当に大事な場面でこそ打つ」――それが、今季の大谷翔平である。二刀流としての復活を果たした今季、打者としてもまたひとつ階段を上がったと言えるだろう。
(Full-Count編集部)
