オリ・横山聖哉の意識改革…気づいた打席の“悪癖” 2年目ドラ1が掴み始めた「探る時間」

オリックス・横山聖哉「“僕始動”に変えたんです」
オリックスの2年目、横山聖哉内野手が、打撃向上のきっかけをつかみつつある。
「間と、タイミングです。練習からそのイメージでやっていたら、すごくボールの見え方もよくなってスイング自体もしっかりと振れるようになったんです」。横山聖の表情に明るさが戻った。
上田西高(長野)で通算30本塁打を放った俊足強打の左打者。福良淳一ゼネラルマネジャーから「トリプルスリーを狙える」と高い評価を受け、2023年ドラフト1位で入団した。1年目は2軍戦で開幕から5月10日まで打率3割以上をキープするなど期待に応え、1軍に昇格した試合でプロ初安打を放つなど、12試合に出場した。
シーズン終了後には、台湾のウインターリーグのメンバーに抜擢され、飛躍を誓って臨んだ2年目のシーズンだったが、2軍スタート。ウエスタン・リーグでは好不調の波が激しく、5月末まで打率2割に届かなかった。「3番・遊撃」で“英才教育”を受けてきたが、精神的な負担を減らす意味もあり4月下旬からは下位での起用となった。
「打席の中で考えることが増えて、いらん考えがスイングに影響しているような感じ。打たなきゃいけないという思いもあって、三振の内容も悪いですし。何かきっかけがあれば」と下を向くことも多かった。しかし、6月5日の広島戦(由宇)からの5試合で17打数7安打、打率.412。4度のマルチ安打を記録し打撃向上の兆しをみせた。
打撃好調の要因を、横山聖は「投手に合わせて上げていた足を、投手に僕に合わせてもらう“僕始動”に変えたんです」という。具体的には「バットを担いで、上げた足をそのまま下ろす感じでいたんですが、ボールを探る時間というか見る時間がなかったんです。自分から始動することで、ボールが来る前に探る時間ができたんです」と明かす。
フォームの改造などではなく、意識の変化。「自分はできるだけ、前で捉えたいという癖がついてしまっていたんですが、しっかりとボールを見る時間を増やしたら変化球を見逃せる回数も増えてきたんです。(カウントを)追い込まれる前に、しっかりとミートすることができるようになりました」。
それまで、結果を欲しがるばかりに力強い打球を飛ばせず長打が減り、三振を恐れて悪球に手を出して三振を喫する悪循環だったが、長打も増えるようになった。「信二さん(高橋信二2軍打撃コーチ)やほかの指導者の方からも、『間とタイミングが大事』だとアドバイスをいただいていたことが、理解できました」。新たにつかんだ感覚を研ぎ澄まし、結果を残して1軍昇格を目指す。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ(北野正樹/Masaki Kitano)
(北野正樹 / Masaki Kitano)

