ハヤテ田中健二朗がこらえた涙 “オラオラ系”が思わず…DeNA時代の恩師からの熱い言葉

引退会見に出席した田中健二朗【写真:湯浅大】引退会見に出席した田中健二朗【写真:湯浅大】

恩師の木塚氏「甲子園の優勝投手を感じさせるスローカーブ」

 ウエスタン・リーグのくふうハヤテに所属する田中健二朗投手が5日、静岡県のちゅ~るスタジアム清水で引退会見を行った。会見では縁のある人たちからのビデオメッセージも届き、もっともお世話になった“師”として名を挙げた木塚敦志氏(現DeNAスカウト)からの熱い言葉には、田中は涙をこらえるのに必死だった。

 田中が横浜(現DeNA)に入団した2008年の1年目、木塚氏はベテラン投手として若手のお手本的な存在だった。引退後も球団のコーチとして在籍。田中は木塚氏から熱く、親身にのったアドバイスを受け、共に悩み、共に戦ってきた。

 そんな恩師が画面に突然登場。鋭い眼光で「オラオラ系」とも言われた田中だが、思わず顔を上げて涙をこらえた。大きく深呼吸して気持ちを整え、モニターを真剣に見つめた。

「健二朗、おつかれさまでした。健二朗との思い出はたくさんありますけど、まだ2軍暮らしだった頃の(施設のある)横須賀でのキャッチボール。甲子園の優勝投手を感じさせる勇気を持ったあのスローカーブ。どんな場面でもマウンドに向かってくれる、ブルペンから見送ったあの後ろ姿。クライマックスシリーズでチームを救った一塁牽制……などなどたくさんありますが、毎日毎日ブルペンで準備をしてもらって、投げ抜いてもらって本当に感謝しています」

 温かいメッセージに、田中も熱い思いが込み上げた。「また次のステージに進むことになると思いますが、落ち着いたら少しゆっくりして、ご飯でも一緒に行きましょう。健二朗、長い間本当にお疲れ様でした。本当にありがとう」。感無量の面持ちでメッセージを受け止めた。

「綺麗なアウトが取れなくても…」

 自身の引退を木塚氏に報告した際、たくさんの思い出話を交わし、その最後に「シーズンが終わるまで田中健二朗でいてくれ」と伝えられた。ラストの登板まで自分らしく投げ抜くことを誓った。

「僕のピッチングスタイルというのは、とにかくバッターの芯を、タイミングを一つ外すという形だと思います。そのために自分の持っている武器を最大限に使って、綺麗なアウトは取れなくても、どんどんバッターに向かっていって投げ込んでいくスタイルを貫きたいなと思います」

 150キロを超えるような球を投げるわけではない。キレのある直球と、鋭く曲がって落ちるカーブで、泥臭くアウトを積み重ねてきた。NPB16年で通算274試合に登板、14勝13敗1セーブ、64ホールド。ハヤテでは1年目は18試合に登板し3セーブ(1敗)、防御率1.40。今季も5日時点で31試合に登板し3勝3セーブ、防御率2.08の成績を残している。

 オラオラの雰囲気を醸し出し、マウンドから打者を見下ろす。自分らしく全力で左腕を振り、18年間のプロ選手生活に幕を下ろす。

○著者プロフィール
湯浅大(ゆあさ・だい)
東京都生まれ。成城高、法大を経て1997年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでサッカー、野球などを担当。主にMLB、DeNA、西武などを取材した。2023年11月からFull-Count編集部に所属。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

RECOMMEND

CATEGORY