2軍でタイトル獲得→翌年の活躍は? 記録で辿るパの逸材たちの成長…来季の有望株への期待

日本ハム・清宮幸太郎、オリックス・宮城大弥、ロッテ・高部瑛斗(左から)【写真:球団提供】
日本ハム・清宮幸太郎、オリックス・宮城大弥、ロッテ・高部瑛斗(左から)【写真:球団提供】

2軍でタイトルを獲得した選手たちのその後…

 9月28日にイースタン・リーグとウエスタン・リーグの全日程が終了し、2軍のタイトルホルダーが確定した。タイトルを獲得した選手たちにとっては、1軍の舞台で自らの実力を発揮することが次なる目標となる。

 ここでは直近6年間で2軍のタイトルを獲得した、当時パ・リーグ球団所属の選手たちの顔ぶれとともに、翌年以降に1軍で活躍した選手たちを取り上げる。

 阪神の大竹耕太郎投手は、ソフトバンク在籍時の2020年にウエスタンで最多勝、最優秀防御率、勝率第1位の投手3冠に輝活躍を見せた。ソフトバンクでは層の厚い先発陣の壁に阻まれたが、2023年に阪神へ移籍以降は3年連続で9勝以上を挙げて2点台の防御率を記録。2度のリーグ優勝にも貢献し、新天地で先発投手として開花を遂げている。

 大竹と並び2020年にウエスタンの最多勝を受賞した宮城大弥投手は、翌年の2021年に13勝を挙げて新人王に輝く大ブレイクを果たした。同年から3年連続で2桁勝利を記録し、5年連続で140イニング以上を消化。左のエースとしてリーグ3連覇を支え、現在に至るまで先発陣の中心的存在の1人として活躍を続けている。

 日本ハムの生田目翼投手は2021年に2軍で防御率2.30と安定した投球を見せ、イースタンで最優秀防御率を受賞。翌2022年は結果を残せなかったが、2024年に1軍で自己最多の43試合に登板し、10ホールドポイント1セーブを記録。今季も25試合で6ホールド、防御率2.30と数字を残しており、ブルペンの貴重な存在へと成長を遂げている。

 ソフトバンクの長谷川威展投手は2023年にリリーフながら8勝負けなしの好成績を残し、イースタンで最多勝のタイトルを獲得。2024年には現役ドラフトでソフトバンクに移籍し、新天地で自己最多の32試合に登板。10ホールドポイントを挙げて防御率2.49と安定した投球を披露し、貴重な左の中継ぎとして同年のリーグ優勝にも貢献した。

清宮幸太郎や高部瑛斗は翌年にチームの主力に成長

 続いて、2020年以降に2軍でタイトルを獲得した、当時パ・リーグ球団所属の野手たちの顔ぶれを見ていく。

 DeNAの三森大貴内野手は、ソフトバンク在籍時の2020年にウエスタンで打率.323、出塁率.397を残し、首位打者と最高出塁率の2冠に輝いた。2021年には1軍で86試合に起用され、2022年から2年連続で102試合に出場。俊足とシュアな打撃を活かして3年間で50盗塁を記録するなど、2軍でのタイトル獲得を機に1軍での出場機会を増やし、二塁手の主力として活躍した。

 日本ハムの清宮幸太郎内野手は2021年に19本塁打を放ってイースタンの本塁打王を獲得。打率.199と確実性こそ欠いたものの持ち前の長打力を発揮。同年の1軍出場はなかったものの、続く2022年には1軍で129試合に出場し、18本塁打を放ち自身初の規定打席に到達。同年から4年連続で2桁本塁打を記録し、主力打者としてチームの躍進を支えている。

 ロッテの高部瑛斗外野手はプロ1年目の2020年にわずか1厘の差でイースタンの首位打者を逃したものの、翌2021年には28盗塁でイースタンの盗塁王を獲得。続く2022年は1軍でレギュラーの座をつかみ44盗塁を記録し、1軍でも盗塁王に輝いた。同年にはゴールデン・グラブ賞も受賞し、現在も走攻守にわたり活躍している。

 楽天の渡邊佳明内野手はプロ1年目から1軍で活躍したが、5年目の2023年は1軍で打率.143と苦しんだ。しかし、2軍では打率.372、出塁率.437と成績を残し、規定打席不足ながらイースタンの首位打者と最高出塁率の2冠を獲得。翌2024年は1軍で打率.250、2025年は打率.279と、2軍でタイトルを獲得して以降は、1軍の打撃成績も復調している。

 ロッテの山本大斗外野手は2024年に19本塁打、66打点を記録し、イースタンで本塁打と打点の2冠王に輝いた。翌2025年は1軍で自身初めて100試合以上に出場し、チーム2位の11本塁打を記録。打率.205と確実性に課題は残しているものの、一時は4番打者を務めるなど確かな成長の跡を示し、投高打低の環境にあって若き長距離砲候補として存在感を放った。

2軍のタイトル獲得選手にかかる期待

 2軍でのタイトルは1軍における成功を保証するものではない。しかし、宮城や清宮幸のようにチームの主力へと成長を遂げたり、大竹や長谷川のように移籍先で花開いた選手がいる点は見逃せない要素だ。

 今季は有薗直輝内野手がイースタンで首位打者、本塁打王、最高出塁率の3冠に輝き、ウエスタンでは笹川吉康外野手が本塁打と打点の2冠王を獲得。さらに、泰勝利投手は30セーブの大台に到達しイースタンの最多セーブ投手賞を手にしており、若きホープたちがタイトルをつかんでいる。

 今季2軍のタイトルを獲得した選手たちは、来季以降に1軍で飛躍を遂げ、過去の成功例に続くことができるか。今後の活躍に期待していきたい。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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