日本Sの運命握る甲子園 鷹打線に“有利な条件”も…専門家が語る異様さ「物凄くやりにくい」

この時期の甲子園は「逆方向の風が吹く」…野口寿浩氏が解説
猛打にさらなる追い風か――。ソフトバンクは26日、みずほPayPayドームで行われた阪神とのSMBC日本シリーズ2025第2戦に10-1で大勝。1勝1敗の五分に戻して、甲子園に乗り込む。山川穂高内野手が5打点を挙げるなど打線が14安打で10得点。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「完全に勢いに乗った」と第3戦以降の爆発を予測した。
1番・柳田悠岐外野手が3安打、2番・周東佑京内野手はシリーズ新記録の5安打、第1戦でスタメンを外れた6番・山川はフェンス直撃の決勝2点二塁打と豪快な3ラン。「柳田、周東、山川の3人は完全に乗ってきた。阪神には脅威です」。今の状態なら、どこからでも得点できそうな雰囲気がある。
舞台は敵地へ。この時期の甲子園は「左打者に有利なフォローの風が吹くことが多い」という。レギュラーシーズン中は右翼から左翼方向への、いわゆる「浜風」が吹き、左打者の右翼への飛球は押し戻されて一発が出にくい。だが「秋口から冬にかけては風向きが変わる。浜風じゃなくなって、逆方向の風が吹くことが過去にも何度もありました」と言い「風を利用して打つ打者が出てくるのではないか」と推測した。
左の長距離砲には不利とされる浜風とは逆方向の、有利な風が吹く。ソフトバンクは第2戦のスタメン7人が左打者だった。柳田や近藤健介外野手、栗原陵矢内野手ら、長打も期待できる左の強打者がそろう。この時期特有の風を味方にする可能性は十分にある。
難しい近藤の起用法「勝負どころで代打で起用すると思う」
ただ、2戦目まで「4番・指名打者」で出場した近藤は左脇腹の怪我から復帰したばかり。指名打者がないセ・リーグの本拠地では起用が難しくなる。野口氏は「近藤は第2戦は1安打だけでしたけど、バットは振れています。ただ怪我明けなので守備には就かせないのではないでしょうか」と予想する。
外野陣は左翼・柳田、中堅・周東に加え、シーズン打率がパ・リーグ2位で3番を担う柳町達外野手が右翼に入る。「今の外野3人は誰も外せません」。近藤に守備の負担をかけられない上、代えられる選手もいない状況。「近藤は代打でしょう。勝負どころで代打で起用すると思います」と指摘した。
野村克也氏ら、かつての名将が日本シリーズは第2戦を重要視していたことを例に「2戦目がシリーズ全体の流れを決めることが結構あります」と分析する一方「“球界あるある”で大量点で勝った次の試合は打線が沈黙することがよくあります」と第3戦に注目する。
「大量点の翌日が移動日で1日空く。それがどう影響するか」。まだ流れはどちらに転ぶか分からない状況。「阪神ファンが圧倒的に多い甲子園はとんでもない雰囲気になる。いかに強いソフトバンクでも、物凄くやりにくいと思います」。果たして風はどちらのチームに吹くのか。熱い戦いから目が離せない。
(尾辻剛 / Go Otsuji)