ド軍と激闘後の舞台裏「1時間泣きっぱなし」 32年ぶりの頂点逃すも…残した“記憶”

第7戦は延長の末に惜敗…32年ぶりの頂点へ1勝届かず
ドジャースが今世紀初の連覇という結果で1日(日本時間2日)に幕を下ろしたワールドシリーズ。3勝4敗で惜敗したブルージェイズは32年ぶりの頂点に届かず。選手たちは悔しさをにじませながらも、激闘を戦い抜いた誇りや野球への愛を口にした。
ア・リーグ東地区でヤンキースを抑えて優勝を飾ったブルージェイズはポストシーズンでも快進撃を見せた。リーグ優勝決定シリーズでは先に王手をかけられながらもマリナーズを撃破。現在では唯一のカナダの本拠地を置く球団として、地元の熱狂的な声援を受けてワールドシリーズに臨んだ。ドジャース相手に先に敵地で3勝目を挙げて王手をかけたが、最後は山本由伸投手の力投に阻まれ、延長戦の末に敗れた。
ポストシーズンで打率.411と大当たりだったアーニー・クレメント内野手は「(試合後)1時間ほど泣きっぱなし。もう涙が出ないかと思っていた。この選手たちがとにかく大好き。仕事に来るのが毎日とても楽しかった」と試合後にコメント。「届かなくてもすべて出し切ったと言えるときは、何か誇りに思えるものがある」と前を向いた。
36歳でオフにFAになるクリス・バシット投手はロッカーでジョン・シュナイダー監督に声をかけられ、抱き合う場面も。「このメンバーともう一度チャンスをもらえることを願う。このメンバーが大好きだ」と目を潤ませながら話した。第7戦に先発したサイ・ヤング賞3度の41歳、マックス・シャーザー投手は「私は41歳だが、こんなに野球を愛することができるとは思わなかった」と激闘を振り返った。
バシット同様、オフにFAになるボー・ビシェット内野手は右膝の負傷からワールドシリーズで復帰。足をひきずりながら「このメンバーはずっと覚えておく。このメンバーはチームというものが一体何かを教えてくれた。私のキャリアで最も貴重な学びだったと思う」と振り返った。
MLB公式サイトによると、シュナイダー監督はシーズン中に1度もチームミーティングを開かなかったという。選手たちが自主性を生かし、互いの責任を尊重したため、その必要がなかったためだ。試合後の会見場で指揮官は、必死で感情を抑えながら「先ほど今年初めてチームミーティングを開いたばかりだ」と述べた。続けて「お互いが心から好きで、お互いのことを心から気にかけるメンバーにはそうそう出会えない。彼らだけじゃなくて、その妻たち、子供たちもそうだ。特別なメンバーだ。ブルージェイズのファンは何世代にも渡ってこのチームを覚えているだろう」と言葉を絞りだした。
惜しくも32年ぶりの頂点には届かなかった。だが、大谷翔平投手らスター選手を擁するドジャースをあと一歩まで追い詰め、トロントの本拠地を大歓声に包んだ光景は、間違いなく球団史に刻まれることとなったはずだ。
(Full-Count編集部)