ド軍を支えた26歳が静かに退団 6度の降格も「理解しているよ」…欠かせなかった奮闘

世界一の瞬間には立ち会えずも…ドジャースを支えた選手たち
ドジャースが2025年のワールドチャンピオンに輝いた。3日(日本時間4日)にはパレードが行われ、選手たちは沿道に駆け付けた22万人、ドジャースタジアムを埋めた5万人のファンから割れんばかりの歓声を浴びた。一方で、歓喜の瞬間には立ち会えずも、今季のドジャースを支えた選手たちも多く存在する。
ベン・カスパリアス投手は、46試合に登板。中継ぎとしてどんな場面でも起用され、ブルペンには欠かせない存在だった。大谷も7月の球宴前日会見で、ジャック・ドライヤーとともに「今季凄いと思った選手」に挙げられ、「チーム全体の中で、すごくいい役割を果たしてくれているなと。僕の中ではその2人」と称賛を受けていた。
9月にはマイナーに降格。プレーオフでもロースターに入ることはなかった。それでもチームには帯同し、シャンパンファイトやパレードには参加した。
日本と比べ移籍が日常茶飯事のメジャーリーグ。もうすでに、チームにいない選手もいる。今季からドジャースでプレーした26歳のマット・サウアー投手は、3Aオクラホマとの往復を繰り返して怪我人の多いブルペンの穴を埋めた。6月10日(同11日)のパドレス戦では、2回に登板して異例ともいえる111球を投じた。東京シリーズ後の降格も含めると、6度の降格を経験。9月にはDFA(事実上の戦力外)となってマイナー契約を結び直していたが、世界一の3日後、11月4日(同5日)にはリリースされた。
昇降格を繰り返す右腕に、シーズン中に話を聞いた。「必要なときに呼ばれて、降格するんだ。自分の役割は理解しているよ。なのでストレスに感じすぎないようにしているんだ」。と、モチベーションの保ち方を明かしてくれた。カリフォルニア州出身で、幼い頃はドジャースファン。打たれても投げ続ける姿に、ロバーツ監督も「マットには本当に感謝している」と称えていた。
マックス・マンシー内野手が離脱した8月には、ブルージェイズをDFAとなっていたバディ・ケネディ内野手を獲得し、即昇格させた。今季はドジャース加入前に3度のDFAを経験。フィリーズではハーパー、ブルージェイズではヒメネスと、主力が復帰するまでの“穴埋め”という立場。今回もマンシーの“代役”という形での昇格となり、最後までチームにいられないことは感じていただろう。それでも「与えられた機会に全力を尽くしたい。打席ではアウトを奪われにくい打者になって、手堅い守備をしたい。自分らしさを毎日出して、与えられた機会に対して、ベストを尽くしたい」と意気込んでいた。7試合で安打1本に終わったものの、三塁で堅い守備を披露した。
彼らにも、栄誉あるチャンピオンリングが渡される。縁の下の力持ちは、「unsung hero(影の英雄)」とも呼ばれる。“目立たない”彼らのワンプレーワンプレーも、ドジャースが頂点に立つ上では欠かせなかった。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)