西武・渡部聖弥を襲った“負の連鎖”「プロの質は違う」 忘れぬ悔しさ…変えた習慣

西武・渡部聖弥【写真:小林靖】西武・渡部聖弥【写真:小林靖】

西武新人では7人目の2桁本塁打

 西武の「若大将」こと渡部聖弥外野手が2年目のジンクスを吹き飛ばし、さらなる飛躍を目指している。即戦力と期待されたルーキーイヤーの昨年、渡部は109試合に出場し110安打、打率.259、12本塁打、43打点を記録した。目指していた新人王こそ逃したものの、スタメン出場の8割を超える88試合でクリーンアップに座り1986年の清原和博(31本)、2003年の後藤武敏(11本)以来、球団新人として7人目の2桁本塁打をマークした。期待の「若大将」は今季から三塁コンバートにも挑戦しながら飛躍の2年目に着々と準備を進めている。

 昨年12月の契約更改で渡部は1850万円増の3100万円(金額は推定)で2026年シーズンの年俸を更改した。金額には納得しながらも目標としていた新人王をロッテ・西川史礁外野手に奪われ「凄く悔しいですし、取りたかった」と悔しさを露わにした。

 そして、その悔しさをバネに「今後、プロ野球人生を歩んでいく中で、いろんな賞を獲ることができれば。来年(2026年)は今シーズンの成績を全て上回りたい」と貪欲に2年目の飛躍を誓っていた。

 有言実行の23歳がこのオフから取り組んでいることの一つに「ケガをしない体作り」がある。昨年は開幕から11試合で打率.429と好調だった序盤4月12日の日本ハム戦(エスコン)で右足首をねん挫。約2週間の戦線離脱を経験した。復帰後、1試合2本塁打を含む3安打3打点の活躍で打率をリーグトップの.331に押し上げた5月23日のロッテ戦(ZOZOマリン)で今度は左足首をねん挫し、約1か月の離脱を余儀なくされた。

 この2度の故障離脱を教訓とし、渡部は「秋の期間(秋季練習&キャンプ)でフィジカルを見直した。自分はフィジカルは強い方ではあるんですけど、2度の離脱があって怪我もしてしまったので、やはり怪我をしない体。強さだけではなく柔らかさというところも鍛え直していきたい」と新たな取り組みを始めた。

 シーズン中から毎試合後に続けてきたストレッチ。これに筋肉と関節の可動域を広げるための初動負荷トレーニングが加わった。渡部は「初動負荷というところに通って、これを長く続けていきたい。本当の効果は3か月、4か月、1年とやっていかないと分からないと思うので、まずはこれを続けていきたい」と新たに継続していくルーティンへの“忠誠”を誓っている。

四球数アップも2年目の課題

 また、打撃面の課題としては452打席で21個しか取れなかった四球数も2年目のテーマとなってくる。「なかなか四球を取れず選球眼に悩まされたところがあった。フィジカルもしっかり鍛えて、スイングスピードが上がることによってボールを長く見られると思う。春先になってスイングスピードが上がってボールを近くまで見て、というのが目指しているところ」と渡部。そのためのウエートトレーニングによるスイングスピード向上もジンクス打破のポイントに挙げている。

 渡部の思考の柔軟性はこの“柔らかさ”と“強さ”を持ち味のバッティング動作の中で融合させようとしているところだろう。渡部は「瞬発的なウエートも、初動負荷という器具を使ったトレーニングで変換させるというんですか。パワーを野球の動きに変換できるようにしていきたい」と新たに取り組むトレーニングの方向性も明確だ。

 さらに昨秋キャンプからはサードへのコンバートにも挑戦中で宮崎・南郷キャンプでは黒田哲史内野守備・走塁コーチから連日ノックの雨を浴びた。これに渡部は「まだ実戦で守っていないのでなんともいえないんですが、サードの瞬発力だったりハンドリングというところが練習ではある程度さばけてきたかなという実感はある。高校、大学とアマチュア時代にも守っていたんですけど、プロの打球は質も違うので実戦になってみないとまだ自信にはならないかなと」とまだ不安を抱えた状態での特訓は続いていく。

 守備位置を昨年のレフトからサードに前進させる覚悟については「外野は遠いので試合中に声掛けはできなかった。サードはピッチャーに一番近いのでピンチの時に行ったり、気迫を出す場面、ピッチャーを鼓舞する場面が増えてくると思う。そこらへんを状況を見ながら出来たらと思います」。常に実戦をイメージしながら、西武の将来を担う背番号8は前進を続けている。

◯著者プロフィール
伊藤順一(いとう・じゅんいち)
東京都生まれ、埼玉育ち。早大卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。整理部を経て野球担当。ヤクルト、西武、ロッテ、日本ハム、MLBなどを取材。2026年1月からFull-Count編集部に所属。(伊藤順一/Junichi Ito)

(伊藤順一 / Junichi Ito)

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