阿部監督がキャンプ初日にトークショーを行った
笑顔から一転、神妙な面持ちとなった。巨人・阿部慎之助監督は宮崎キャンプ初日となった1日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎正面の特設ステージに登場し、トークショーでファンと触れ合った。約300人のファンを前にシーズンへの意気込みなどを語るなか、偶然がもたらした縁に、思わず感慨深い表情を浮かべた。
全体練習終了後に登壇した阿部監督は「今日は全員が素晴らしいスタートを切れたんじゃないかなっていうのは思いますし、素晴らしいね、緊張感があって、いい練習ができたんじゃないかなと思います」とうなずいた。キャンプのテーマとして「1年間通じて戦える体力と、あとは基本の徹底。これだけをね、したいなとは思っています」と述べた。
昨季は優勝した阪神に15ゲーム差をつけられての3位。巻き返しを狙う2026年は選手にハードワークを求めていく。「素晴らしい功績を出された方々って、練習していない人は多分いないと思うんですよね。なので、ハードワークだとか地獄だとかね、僕は言っちゃうんですけど、そのゲームに勝つために必要なことをやっているつもりです」。
レギュラー争いも「フラットな状態」だという。「素晴らしい実績がある人もいますけど、それはもうチームの財産として置いておく。フラットな状態でスタートしたので、ベテランも若手も全員にチャンスがあります。アピールしている、競争しているのを見ていただければありがたいなと思います」とファンにメッセージを送った。
トークショーに先立ち、キャンプ地から宮崎南高校書道部のメンバーが書き初めで今季のチームスローガン「前進 ~GIANTS CHALLENGE~」と記した。力強い毛筆に阿部監督も「素晴らしいの一言ですね」と感激した。
故・木村拓也さんの母校から“応援”
さらに「パワー感じるし。皆さんね、忘れちゃっているかもしれないけど宮崎南高校ね。木村拓也さんの高校じゃないですか」とポツリ。2010年4月2日の試合前練習中にクモ膜下出血のため緊急搬送されたが、同7日に亡くなった木村拓也さん(当時1軍内野守備走塁コーチ)の名前を挙げた。
「なんか、(同校と)ご縁があったのかなっていうのもありますし。皆さん、拓也さんをもう1回、たまにでいいんでね、思い出してあげてください。そうですね、なんかのご縁だと思います。本当にありがとうございます」。壇上から神妙な面持ちでファンに呼びかけた。
球団関係者によれば、今回あえて宮崎南高に声をかけたわけではなく、イベントに携わった地元の観光協会のメンバーが同校出身の縁で実現。「本当に偶然ですが、監督が言っていたように、ご縁があったみたいです」と説明した。
「宮崎では素晴らしい準備をさせるつもりです。ぜひ選手の頑張っている姿を引き続き見に来ていただいて、また1年間、温かいご声援をいただければなと思います」。阿部監督の挨拶に約300人のファンからは温かい拍手が沸き起こっていた。天国にいる“仲間”とともに、「阿部巨人」がリーグ優勝、日本一を奪い返す。
○著者プロフィール
湯浅大(ゆあさ・だい)
東京都生まれ。成城高、法大を経て1997年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでサッカー、野球などを担当。主にMLB、DeNA、西武などを取材した。2023年11月からFull-Count編集部に所属。
(湯浅大 / Dai Yuasa)