大谷翔平、なぜ異例の“宣言” 驚いた「やりたいな」…WBC前にルーティン崩す“意味”

侍ジャパンに合流した大谷翔平【写真:小林靖】侍ジャパンに合流した大谷翔平【写真:小林靖】

昨季のレギュラーシーズン中は行わなかったフリー打撃

 珍しい言葉だった。野球日本代表「侍ジャパン」に合流した大谷翔平投手(ドジャース)が26日、バンテリンドームでの練習後の会見で、強化試合の試合前にファンの前でフリー打撃を行うことを示唆した。昨シーズン中は徹底して室内調整を貫いてきただけに、大谷の発言に少し驚かされた。

 近年の大谷は、徹底した合理主義を貫いている。試合前のフリー打撃は年々減少し、昨年のレギュラーシーズンの試合前には1度も行わなかった。不調に苦しんだポストシーズンで例外的に2度屋外に出たことはあったが、基本的には打球の行方よりも、ボールへのコンタクト、バットの軌道を入念に確認。その上で、2年連続50本塁打以上という結果を残している。

 合流前のスプリングトレーニングでも屋外でフリー打撃を1度実施したのみで、基本的に打撃練習は室内で実施。昨シーズン中の調整法を見ていただけに、今回の来日ではフリー打撃が見られなくてもおかしくないと思っていた。しかし、大谷は会見で近日中のファンの前でのフリー打撃について前向きな姿勢を見せた。

 「やりたいなとは、もちろん思ってます」

「今日のケージの感じも悪くなかったので、明日また状態を見ていけそうだったらやりたいなと思ってます。まずは試合に向けた調整が一番だと思うので、その前のケージの状態が一番大事かなと思ってます」

 フリー打撃実施を断言こそしなかったものの、昨年の東京シリーズでもフリー打撃を実施しなかった大谷が、なぜルーティンを崩すのか。

3年前のWBC開幕前もフリー打撃を披露した大谷翔平【写真:荒川祐史】3年前のWBC開幕前もフリー打撃を披露した大谷翔平【写真:荒川祐史】

球場がざわついた3年前のフリー打撃

 思い返せば3年前、大谷は同じくバンテリンドーム、京セラドームでそれぞれフリー打撃を行い、バックスクリーンに何度も当てるなど驚愕の飛距離で場内をざわつかせた。これには中日、阪神の選手たちも仰天。もちろん侍ジャパンのチームメートも口あんぐりで、当時3冠王に輝いた直後の村上宗隆内野手(ホワイトソックス)も衝撃を受け、世界トップクラスの打球を多くの日本人が目に焼き付けた。

 現在、日本はかつてない“大谷フィーバー”に沸いている。この日、大谷がグラウンドに姿を見せると、侍ジャパンの選手たちは自分のアップを行いながら、大谷にチラチラと目をやり、一挙手一投足に注目していた。名古屋では試合の出場はできないものの、多くのファンが“大谷見たさ”に球場を訪れる。

「日本を代表するような素晴らしい選手たちが集まっている。本当に『プロだな』と感じる瞬間がたくさんあると思うので、そういう姿を、見ていただければ嬉しい」

 今回フリー打撃を行うのは、ただの調整の一環なのかもしれない。それでも、大谷の打球をその目で見た選手、そして将来の球界を担う子どもたちに、多大な影響を与えることは間違いない。日本球界の顔である自分が背負う役割は、否が応でも分かっているはずだ。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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