侍Jに現れた“ジョーカー”…専門家が唸った魔球は「消える感覚」 注目される指揮官の決断

韓国戦に勝利した侍ジャパン【写真:Getty Images】
韓国戦に勝利した侍ジャパン【写真:Getty Images】

菊池雄星はまるで強化試合のリプレー映像「キレが感じられない」

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドC組で幸先よく開幕2連勝を飾った野球日本代表「侍ジャパン」。しかし、大会連覇を目指す上では、7日の韓国戦(東京ドーム)に先発し、初回にいきなり3失点した左腕・菊池雄星投手(エンゼルス)の調子が気がかりだ。1次ラウンド突破には大きく前進したが、準々決勝以降の先発候補として、別の投手を推す声も上がっている。

 リプレー映像を見ているかのようだった。菊池は今月2日に京セラドーム大阪で行われたオリックスとの強化試合に先発した際も、初回に4安打を集中され3失点。2回から4回までは無失点で切り抜けたものの、不安を残していた。

 そして7日の韓国戦でも、再び初回につかまった。いきなり先頭打者から3連打されて1点を失い、さらに2死一、二塁で左打者のムン・ボギョンに3球続けたスライダーをとらえられ、2点二塁打された。3回にも2安打されて得点圏に走者を背負うなど、不安定なまま3回6安打3失点で降板した。

 現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBの実況解説などで活躍中の野球評論家・新井宏昌氏は「オリックスとの強化試合の時もそうでしたが、スピードガン表示は最速156キロをマークしていても、打者から見るとそれほど速く感じられない。ホームベース上でキレが感じられない球だったと思います。非常に心配です」と語る。

 対照的だったのは、2点リードの4回から菊池を救援した伊藤大海投手(日本ハム)だ。立ち上がりは、先頭打者にいきなり死球をぶつけ、1死後、大谷翔平投手の同僚であるキム・ヘソン内野手(ドジャース)に同点2ランを被弾。しかし、これで目が覚めたように、5回と6回は2つずつ三振を奪い、いずれも3者凡退に仕留めた。結局3イニングで1安打2失点を許したものの、6奪三振2失点で凄みを見せつけた。

 ストレートの球速は150キロ前後だが、カットボール、ツーシーム、スライダー、スプリットをまじえながらコーナーを攻め、いったん勢いに乗ると相手打者に付け入る隙を与えなかった。

韓国戦に登板した侍ジャパン・種市篤暉(左)と伊藤大海【写真:Getty Images】
韓国戦に登板した侍ジャパン・種市篤暉(左)と伊藤大海【写真:Getty Images】

種市は「長いイニングを任される可能性」

 井端弘和監督は、菊池に「ああいう“剛腕タイプ”は、日本にはなかなかいない」と絶大な信頼を置いている。1年前の2025年1月に早々と「2025年の成績がどうなろうとも、呼びたい」と出場要請していたほどだ。

 それでも新井氏は「準々決勝以降は、負ければ終わりのトーナメントですから、調子のいい選手を使うのが鉄則。菊池の代わりに伊藤が先発する可能性も、十分あると思います」と見る。

 あるいは、メジャーで7年のキャリアを持つ菊池に、ドミニカ共和国、ベネズエラ、米国などメジャーリーガーぞろいのチームとの対戦が予想される準々決勝以降の先発を引き続き託すのか。井端監督の決断が注目されるところだ。

 一方、リリーバーとしてピカイチの存在感を示したのが、韓国戦で7回の1イニングを任された種市篤暉投手(ロッテ)。前の打席で2ランを放っていた先頭のキム・ヘソンを皮切りに、最速156キロのストレートと140キロ台中盤のスプリットの2球種で相手打者を寄せ付けず、3者連続空振り三振に斬って取った。

 新井氏は「素晴らしかったですね。真っすぐに球威がありましたし、スプリットは打者から見るとストレートと区別がつかず、“打ちにいくと消える”感覚だったと思います」と称賛する。「韓国戦は1イニング限りでしたが、今後は球数制限との兼ね合いを考えつつ、長いイニングを任される可能性もありそうです。最初のイニングであれだけの投球をすれば、もう1イニング、さらにもう1イニングとなっていくでしょう」と予想。普段ロッテで先発している種市なら、スタミナにも問題はない。

 いかに各投手の調子を見極め、誰にどのポジションを託すのか。今後はますます、井端監督の決断が鍵を握るともいえそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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