大勢・種市・松本に共通する“不安”「最後に使うのは怖い」 守護神に伊藤大海を推す根拠|解説者の眼

韓国戦の4回から登板し、3イニング1安打2失点、6奪三振だった伊藤大海【写真:荒川祐史】韓国戦の4回から登板し、3イニング1安打2失点、6奪三振だった伊藤大海【写真:荒川祐史】

武田一浩氏が指摘「今回の大会は投手の仕上がりが遅い」

 懸案の抑え問題に、緊急提言だ。野球日本代表「侍ジャパン」は7日、東京ドームで行われた第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド、韓国戦に8-6で逆転勝ち。宿命のライバルとの激闘は、7回に勝ち越すと継投で逃げ切って連勝を飾った。

 現役時代にはNPB通算89勝をマークした右腕で、NHKのMLB中継などで解説を務めている野球評論家・武田一浩氏は「今回の大会は投手の仕上がりが遅いように感じます。全体的に投手の仕上がりが気になります」と指摘。「試合勘の問題だと思いますが、いい球を投げているのに打たれてしまっている」と続けた。

 韓国戦は先発の菊池雄星投手が初回に3失点。2番手の伊藤大海投手も2ランを浴びた。強力打線の援護で勝利したものの、5投手で6失点は不安が残る内容。3番手の種市篤暉投手は3者三振、4番手の松本裕樹投手は1回2安打1失点、5番手の大勢投手は3者凡退で抑えたものの、大飛球でヒヤリとさせられる場面もあった。

 侍ジャパンが初代王者となった2006年の第1回WBCで投手コーチを務めた武田氏は、各投手の投球内容をチェック。侍ジャパンの今後の守護神について「この試合のような使い方をするのだったら、僕なら伊藤を使いたいです」と断言。そこには、明確な理由がある。

 伊藤は韓国戦に5-3と2点をリードした4回から登板。先頭打者を死球で出し、1死後、キム・ヘソン内野手(ドジャース)に甘く入った直球を運ばれ、同点2ランを許した。ただ、失投はその1球だけ。3回を投げて1安打2失点、6三振を奪った。

「この試合で伊藤は本塁打を打たれましたけど、その本塁打以外はしっかり抑えています。自由自在に投げていました。投げっぷりがいいし、重宝する投手。気持ちがかなり強いのがいい。東京五輪も前回のWBCも中継ぎで結果を出していますし、抑えは彼がいいなと思って見ていました」

 2021年の東京五輪は中継ぎで3試合5回を投げて無失点。金メダル獲得に大きく貢献した。前回2023年WBCでも3試合連続の無失点救援。日本ハムでは2年連続で最多勝を獲得するなど先発として活躍しているが、リリーフ投手としても高い適性を示してきた実績がある。

重量打線と対戦する可能性が高い決勝トーナメント「伊藤がキーになる」

 今回の侍ジャパンには、絶対的な守護神が不在というチーム事情もある。今大会は一度メンバー入りが発表された平良海馬投手、石井大智投手、松井裕樹投手の救援投手が怪我などで相次いで出場を辞退。追加選手を選出したものの、救援のスペシャリストが不足している状況は否めない。

韓国戦に登板した(左から)大勢、種市篤暉、松本裕樹【写真:荒川祐史】韓国戦に登板した(左から)大勢、種市篤暉、松本裕樹【写真:荒川祐史】

 韓国戦に救援登板した種市、松本、大勢には、それぞれ不安があるという。「3人ともボールがシュート回転します。そういう投手は、最後に使うのは結構怖いんです」。外角を狙った球がシュート回転して真ん中に入ると一発を浴びる危険性が高まる。「米国に行ったら本塁打が多い打者と勝負になるので、その辺が怖いなと思っています」。

 昨年はセットアッパーを務めた大勢は、抑えとしての実績もあるが「昨年はクローザーをやっていないのが不安。日本では抑えられてもパワーがある米国やドミニカ共和国相手では少し怖いです」という。種市については「ちょっと制球面に不安がある。四球を出す可能性があります」と説明。昨季、種市は160回2/3を投げて50四球。196回2/3で29四球の伊藤に比べると、四球を与える可能性が高い。

「これは好みの問題かもしれませんけど、僕が後ろに持っていきたいのは伊藤大海です。米国に行ったらリリーフをやると思う。彼なら2イニングも投げられるし、球数次第で連投もいけます。一番いいだろうと思って見ています。決勝トーナメントでは、伊藤がキーになると思います」

 世界一を経験した侍の元投手コーチの“提言”はあくまで個人的な見解だが、伊藤が投手陣のキーマンの1人であるのは間違いない。第2先発になるのか、セットアッパーになるのか、それともクローザーを担うのか。いずれにしても、伊藤にかかる期待は大きい。

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