勝敗分ける“痛恨ミス”は「あってはならない」 侍J連勝も…専門家が苦言、背景を推測

新井宏昌氏、4回2死満塁での牧のけん制死に言及
球場が悲鳴に包まれた場面に、専門家も苦言を呈した。野球日本代表「侍ジャパン」は8日、東京ドームで行われた第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド、オーストラリア戦に4-3で逆転勝利。3連勝で1次ラウンドのプールCの1位突破を決めた。
ただ、前日まで好調だった打線が中盤まで沈黙。苦戦を強いられる中、思わぬミスも飛び出した。0-0で迎えた4回2死満塁で、打席には大谷翔平投手。侍ジャパンで最も頼れる打者は、カウント2-1からの4球目の直球を見逃し。その直後だ。二塁走者・牧秀悟内野手が捕手からの送球でタッチアウトとなった。
先制の絶好機で、まさかの牽制死。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在MLB中継の解説などで活躍中の野球評論家・新井宏昌氏は「あってはならないプレーです。大罰金もののタッチアウト。日本代表に選ばれるような選手がするプレーではない」と厳しい言葉を並べた。
「まずは走者は、牽制球に引っかかってはいけないというのが大前提としてあります。ましてや打者は大谷です。二塁走者でワンヒットで本塁に還りたいという気持ちが出たのかもしれませんが、打者は大谷で外野手は下がっている。ゴロのヒットなら確実に還れる状況でした」
問題のシーンで牧のリードを見た新井氏は「人工芝にちょっと右足が引っかかったような感じがありました」という。ただ、それは言い訳にはならない。「遊撃手の守備位置を、あまり考えていなかったのかもしれません」と続けて指摘した。
「もし負けていれば、敗戦の原因はあのプレーだった」
右方向への強い打球が多い大谷を迎え、遊撃手は二塁ベース後方にポジショニング。いわゆる“大谷シフト”を敷いていた。定位置に比べると二塁ベースまでの距離が近く、けん制球に素早く対応できて走者にタッチができる状況だった。
「日本では、遊撃手があの位置にはあまり守らない。日本の試合では普段はあれだけのリードで、牽制球を投げられて頭から戻っても、だいたいセーフになります。遊撃手が二塁ベースの真後ろ付近に守っているのが、頭になかったのかもしれません。その差が、ああいう格好になってしまった可能性があります」
手を挙げた井端監督のチャレンジも認められずチェンジ。「チャレンジできなかった不運はありましたけど、もし負けていれば、敗戦の原因はあのプレーだったということになります。あのプレーはマズい。米国に行けばトーナメント形式になるので、ああいう場面でのボーンヘッドに近い走塁は決して出てはいけません」。今後はさらなる強敵との対戦が続くだけに、同じ過ちを繰り返してはいけない。
先制点を許した6回の若月健矢捕手の悪送球にも触れ「完全なスローイングミス。牧選手と若月選手のミスは嫌な気持ちにさせられました」と反省を促す。続けて「この先、ミスが出ないようにプレーしていってもらえればと思います」と今後の修正に期待した。
決勝トーナメントでは1点を争う勝負になることは必至。わずかなミスが命取りとなるだけに、連覇に向けてこれまで以上に集中して戦っていく必要がある。
(尾辻剛 / Go Otsuji)