腰砕けの森下「何だ?いまの?」 侍Jを“コテンパン”にした大谷翔平…衝撃の59球に透けて見えるWBCの課題

会見を行った侍ジャパン・大谷翔平【写真:荒川祐史】会見を行った侍ジャパン・大谷翔平【写真:荒川祐史】

準々決勝2日前にライブBPに登板、4回想定で7奪三振とチームメートを圧倒

 独特の笑い声が響く。野球日本代表「侍ジャパン」の大谷翔平投手は、右打席で寝っ転がって悔しがる森下翔太を見つめ、闘志むき出しの表情を一気に崩した。実戦形式の投球練習「ライブBP」に登板し、外角へ逃げるスイーパーで空振り三振に。「何だ? いま?」。腰砕けの森下は、ただただ困惑の声をあげるしかなかった。

 14日(日本時間5日)に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝・ベネズエラ戦の2日前。若月健矢、中村悠平、坂本誠志郎の3人の捕手と小園海斗、森下。侍ジャパン5選手との実戦対決が実現した。

 4回を想定して59球。安打性2本、7奪三振に抑え、バットを2本折るなど格の違いを見せつけた。報道陣に交じった小園から「どうでしたか? コテンパンにされてましたけど?」と問われた森下は、率直な思いを口にした。

「すごかったです。対戦する前からすごいのは分かってましたけど、体験できてよかったです。スイーパーは日本にはいないですね。一人もいないです。あそこまでのボールを投げるのは。見たまんまですごいですよ。球速、キレ」。虎の若き主砲は、目をパチクリさせた。

 WBCでは投手としての登板を回避し、打者に専念している。今すぐにでも登板を期待したくなるような内容だった。この日の会見でもWBC登板についての質問が出たが、明確に否定した。

「今のところないですね。それが球団との約束でもありますし、快く送り出してくれた球団に対しての誠意という部分はある。怪我人が何人出てるかとかっていうのは全く予想できないことではあるので、全くのゼロということは何事においても言いたくはないですけど。今の現状だとないんじゃないかなと思ってます」

 侍ジャパンは準々決勝・ベネズエラ戦に山本由伸投手を先発投手として送り込む。菊池雄星投手を2番手以降に投入する総力戦だ。ドミニカ共和国とイタリアの勝者と対戦する準決勝では菅野智之投手がいるが、その後の決勝戦を考えれば投手の頭数はいればいるほど戦力となる。

 井端弘和監督の会見でも「大谷翔平投手がライブBPで登板した狙いは?」との質問が飛んだ。それでも、指揮官は「(狙いは)特にないです。ずっと大谷選手の投球プランはいただいてますので。お預かりして、それに則ったというところで。非常に良いボールがいっぱいあったかなと思います」と話し、侍ジャパンでの起用プランについては触れなかった。

 レギュラーシーズン1か月前から真剣勝負となるWBCは体の負担が大きく、故障のリスクも高まる。この日はサイ・ヤング賞のタリク・スクーバルが米国代表から離脱するニュースが流れた。

 大谷が「年々大会を重ねるごとに盛り上がっていると思いますし、選手たちの情熱、1試合にかける気持ちみたいなのも見て取れる」と語ったように、WBCは年々とレベルアップしている。だが、今大会を揺るがした保険問題、開催時期など真の世界一を決める大会と言えるには、まだできることがあるはず。改めてそう感じさせた大谷の59球だった。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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