侍J、ベネズエラ攻略のカギは 救援陣に不安も…専門家が期待する「究極クローザー」

侍ジャパン・山本由伸【写真:荒川祐史】
侍ジャパン・山本由伸【写真:荒川祐史】

先発・山本由伸の球数制限は80球、注目される救援陣の

 14日(日本時間15日)に米マイアミで第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝のベネズエラ戦に臨む野球日本代表「侍ジャパン」。先発は山本由伸投手(ドジャース)と公表済みだが、80球の球数制限が設けられており、その後を担う救援陣の出来も鍵を握りそうだ。

 ベネズエラの打線は強力である。「特に(ルイス・)アラエス(内野手=ジャイアンツ)と(ロナルド・)アクーニャJr.(外野手=ブレーブス)は、言うまでもなく警戒しなければなりません」と指摘するのは、現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

 アラエスは首位打者3度のアベレージヒッターだが、今大会1次ラウンドでは4試合で打率5割(14打数7安打)、2本塁打9打点の猛打を振るった。「普段は90度にヒットを打ち分ける打者ですが、今大会では3番を任されていることもあって、打撃を切り替え、ある程度長打も狙っている印象です。昨季在籍したパドレスでは、チームメートに(フェルナンド・)タティスJr.(外野手)や(マニー・)マチャド(内野手)といった強打者がいて、アラエス自身はロングを求められない立場でしたが、ベネズエラ代表はそこまでの顔ぶれではありませんから……」と野口氏は見ている。

 確かに、年間本塁打数が2桁に達したことは1度しかなく(2023年の10本)、昨季も8本塁打、長打率.392だったアラエスが、今大会では4試合で2本塁打、長打率1.214と雰囲気が違う。「いずれにせよ、コンタクト能力が極めて高い選手で、振り回して穴が増えているわけではない。注意が必要です」と野口氏は警鐘を鳴らす。

 一方、「1番・右翼」を任されているアクーニャJr.は、2023年に驚異の41本塁打・73盗塁をマーク。パワーとスピードを高いレベルで兼ね備えている点で、大谷翔平投手(ドジャース)に勝るとも劣らない。「翌2024年に怪我をした(左膝前十字靭帯断裂)後、盗塁数は減っていますが、ここというところでは必ず走ってきますよ」とバッテリーに注意を促す。

侍ジャパン・種市篤暉【写真:加治屋友輝】
侍ジャパン・種市篤暉【写真:加治屋友輝】

「ロングリリーフも任せられる」隅田、1イニング限定で光る種市

 対する侍ジャパンは、先発の山本が試合をつくってくれることは大前提として、救援陣の奮闘も鍵になる。「MLBで活躍する日本人選手というのは、落ちる球をうまく使える投手が多いですから、ベネズエラに対しても、そういうタイプを使いたいですよね」と野口氏。

 この条件に見合うのは、1次ラウンド・オーストラリア戦の5回から救援登板し、味方のエラー絡みで1点献上したものの、フォークとチェンジアップを操り3イニングで7つの空振り三振を奪った隅田知一郎投手(西武)。1次ラウンドで2試合に登板し、計2イニングで1人も走者を許さず、ストレートとスプリットの2球種で打者6人中5人を三振に仕留めた種市篤暉投手(ロッテ)。あるいは、フォークやスプリットのいい北山亘基投手(日本ハム)、高橋宏斗投手(中日)といったところか。

 野口氏は隅田を「強く腕を振る割に、なかなか打者の手元まで到達しないチェンジアップと、真っすぐに見えて、振りにいくと“消える”イメージのフォーク。特に初見ではなかなか打てない投手で、国際大会向きだと思います。ロングリリーフになっても、いけるところまで任せていいのではないでしょうか」と高く評価する。

 種市についても「今の調子なら、絶対抑えると思います」と太鼓判を押すが、こちらは「できれば、これまで通り1イニング限定。決勝まで残り3試合として、そのうち2試合で使いたいところではないでしょうか」とシミュレーションする。

 少し気がかりなのは、クローザーの役割を期待される大勢投手(巨人)だ。1次ラウンドでは2試合に登板し、2セーブを挙げたが、オーストラリア戦で2本塁打を被弾し不安を残した。

 種市やクローザーの経験のある北山、藤平尚真投手(楽天)らが最終回のマウンドを託される可能性もあるが、野口氏は「私の個人的な願望で、夢物語かもしれませんが……」とした上で、「日本人なら誰でも究極のクローザーとして期待するのが、大谷でしょう」と言及する。大谷の投手起用は、所属のドジャースの意向もあって井端弘和監督が否定しているが、一方で本人はレギュラーシーズン開幕に備えて、マイアミ入りしてからライブBPに登板した。野口氏は「ライブBPで投げるくらいなら、実戦で1イニング投げてもいいのではないか、と思ってしまいます」と、2023年の前回WBC決勝・米国戦の9回の再現を思い描かずにいられない。

 いずれにしても、準々決勝以降は明日をも知れぬ総力戦が続く。侍ジャパンの投手陣は相手の強力打線を抑え、大会連覇にこぎつけることができるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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