ボンズに比肩する元HR王の本音「だってグレートなんだもん」 スマホ撮影せずにはいられない大谷翔平の“価値”

2度の打撃2冠、2006年にはMVPに輝いたライアン・ハワード【写真:佐藤直子】2度の打撃2冠、2006年にはMVPに輝いたライアン・ハワード【写真:佐藤直子】

2度の打撃2冠、2000年代後半のメジャーを牽引したライアン・ハワード

 まさにエンターテインメントショーだ。14日(日本時間15日)に2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝・ベネズエラ-日本戦の舞台となったローンデポ・パーク(米マイアミ)。野球日本代表「侍ジャパン」が試合前に行った打撃練習では、球場にいた全員が大谷翔平選手のフリー打撃に目を奪われた。

 快音を響かせながら、打球は面白いようにスタンドへと吸い込まれていく。スタンドに集まった日本ファンはもちろん、練習準備のため少し早めにグラウンドに出てきたベネズエラ代表選手も「ワーォッ」とため息交じりに声を挙げた。

 昨シーズン、ドジャースの試合前練習で大谷がフリー打撃を行うことは滅多になかった。だからこそ、球場に居合わせた全ての人にとって貴重な機会。グラウンドで取材をする日本、ベネズエラ両国メディア、さらには打撃ケージの後ろという特等席を陣取る関係者やVIPたちも、みんなが子どもに返ったかのように、ポカンと口を開けてしまった。

 特等席にはメジャーOBの姿もある。2010年に球宴出場経験を持つ元外野手のクリス・ヤング、2007年本塁打王で通算319本塁打、父は元阪神のプリンス・フィルダー、ベネズエラ出身でノーヒットノーラン経験を持つカルロス・ザンブラーノ、そして誰よりも熱心に大谷のフリー打撃を見つめたのが、通算382本塁打を誇る元フィリーズ主砲のライアン・ハワードだ。

 2005年ナ・リーグ新人王で、2006年と08年には本塁打&打点の2冠。2006年にはMVPに輝き、2008年には主砲としてワールドシリーズ制覇に大きく貢献した人物だ。身長193センチ、現役時代の体重は約110キロという恵まれた体格で、全盛期にはバリー・ボンズに比肩するホームラン打者と言われたほど、打球の飛距離はハンパなかった。間違いなく、2000年代後半のメジャーを牽引した打者と言えるだろう。

「スゴイものはスゴイものとしてしっかり評価しなければいけない」

 大谷のスイングを食い入るように見ていたハワードは、次の瞬間、おもむろにスマホを取り出して動画を撮影し始めた。元MVP&本塁打王ですら、思わず動画を撮ってしまう。撮影を終えたハワードは「いやぁ、だってグレートなんだもん」と満足そうに笑った。

「この球場で2階席に、しかもあんな深い位置へ打球を叩き込むことができる打者はそうはいない。最高じゃないか。彼のようなエキサイティングな選手が出てきたら、スゴイものはスゴイものとしてしっかり評価しなければいけない。オオタニのフリー打撃はまさに、動画を撮らずにはいられない価値あるものだからね」

 この日、大谷は1点を追う1回裏、先頭で迎えた第1打席でセンターへ劇的な同点アーチを叩き込んだ。これは1回表にロナルド・アクーニャJr.内野手が山本由伸投手から放った先頭打者弾に対する“返礼”のようなもの。こうした形でアンサーを返すことができるのも、大谷翔平という打者が仲間すら惹きつけてしまう魅力なのかもしれない。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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