侍投手陣はなぜ打たれた? 世界との大きな差「2.6」…通じなかった“.267&.600”

侍ジャパンは今大会100マイル以上は0球…被長打率は20か国中16位
野球日本代表「侍ジャパン」は14日(日本時間15日)、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝・ベネズエラ戦に5-8で逆転負けを喫した。自慢の投手陣がまさかの不発。データから見ても、世界との“差”を痛感させられた。
侍ジャパンは大会前からピッチャーに不安を抱えていた。石井大智、平良海馬、松井裕樹が故障により出場を辞退。“本職リリーフ”の少なさは懸念材料としてあった。そして何より、大谷翔平の登板不可も重荷となった。井端弘和監督も敗戦後の会見では、無念そうに「大谷が投げる選択肢はなかった。投げられたなら先発をさせていた」と説明した。
準々決勝に話を戻そう。侍ジャパンはベネズエラの強力打線に10安打を浴びた。そして実に7本が直球系を痛打されたものだった。山本由伸、隅田知一郎、伊藤大海らが浴びた本塁打の球種は、いずれも「フォーシーム」。かつて日本の武器であったはずの「ホップする速球」が、ベネズエラ打線のスイング軌道に完璧に合致していた。
日本投手陣のフォーシームの平均球速は94.6マイル(約152.2キロ)。本大会20か国中5位だった。決して悪い数字ではないが、最速のドミニカ共和国が96.6マイル(約155.4キロ)、2位の米国が96.0マイル(約154.4キロ)、3位のベネズエラが95.8マイル(約154.1キロ)と、ベスト4以上に進んだ3か国とは明確な差があった。
被打率.267も15位で、16位の韓国(.268)とはほぼ変わらず。被長打率に限っては.600でワースト3位に沈んでいた。球速の速さが必ずしも成績に直結するわけではないが、平均回転数も2247回転/分で全体9位。突出した数字ではなかった。
一方で対照的だったのが、大谷に加えて佐々木朗希も参加した2023年大会だ。日本の平均球速は95.5マイル(約153.7キロ)で堂々のトップ。今回1球も計測されなかった100マイル(約161キロ)以上は57球を数え、被打率.216、被長打率.351はともに5位と結果も残していた。
新たな顔ぶれで臨んだ2026年WBC。侍ジャパンが直面したのは、海外勢の進化だった。メジャーリーグは高速化が進み、投手のスピードに対応しようと打者側も急激に進歩している。日本の投手陣が求められるのは、「剛よく剛を制す」――新たなフェーズかもしれない。
(新井裕貴 / Yuki Arai)