高卒3年で戦力外「あっという間」 忘れぬ苦悩「頭が真っ白に」…育成右腕が痛感したプロの壁

マインツ・アスレチックスでプレーする今野瑠斗(写真はDeNA時代)【写真:町田利衣】
マインツ・アスレチックスでプレーする今野瑠斗(写真はDeNA時代)【写真:町田利衣】

今季からドイツのプロ野球リーグに挑戦する元DeNAの今野瑠斗

 昨季限りでDeNAを戦力外となった今野瑠斗投手は、今季からドイツプロ野球リーグのマインツ・アスレチックスでプレーする。DeNAでは育成選手として過ごしたが支配下に上がることができず、「あっという間に3年経っちゃったという感じでした」と振り返った。

 東京都市大塩尻高から2022年育成ドラフト3位で入団。飛び込んだプロの世界は「2軍の選手でもすごい球を投げるなと思った中で、1軍の選手は想像よりすごかったので、及ばないところにいるなと感じました」というのが率直な感想だった。

 ルーキーイヤーの5月5日、“プロデビュー”は2軍・西武戦(横須賀)だった。5回から3番手で登板するも、2/3回を無安打3四死球3失点のほろ苦。「めちゃくちゃ緊張していて、死球を当ててしまって頭が真っ白になって……。ベンチに戻ったときに藤田一也コーチに『そんなん気にしないで、1年目なんだから思い切り投げろ』みたいに言ってもらって、すごく楽になったというかうれしかったですね」。3年間で印象的だったことにこのシーンを挙げるほど、脳裏に刻まれている。

 2年目の2024年はルートインBCリーグ・神奈川FDへの派遣で試合経験を積んだ。2025年は2軍で8試合に登板して防御率10.80に終わり、戦力外通告が待っていた。「高校のときはある程度コースに投げれば打ち取れたけど、プロは簡単に打ち返される。当たり前ですけど。球の勢いも質もまだまだ。通用しなかったです」と現実を受け止めた。

「成長できたらまた日本でやりたいなっていうのはあります」

「1年、2年と時間がどんどん過ぎていく中で、自分の中でも焦りを感じていた部分もありましたし、なかなか自分の思うような投球、成長ができなかったので、『そうだよね』とは最後思っていましたけど。3年ってあっという間だよってみんなに言われていて、わかっていた部分もあったんですけど、だんだん出場機会も少なくなる中で、どこかで『変わったぞ』というの見せなきゃいけないのに、それがなかなかできずに時間だけが経ってしまいました」

 ドイツリーグでは月給650ユーロ(約12万円)で、アルバイトをしながら週末に試合を行うという未知なる挑戦となる。それでも今野の心を支配するのは、ワクワク感だ。「どこかで自分が変わるキッカケを掴まないといけないと思ったので、成長できたらまた日本でやりたいなっていうのはあります」。日本で一度は掴めなかった夢も、まだ諦めたわけではない。DeNA3年間での貴重な教訓を手に海を渡った先に、そんな未来が待っているかもしれない。

(町田利衣 / Rie Machida)

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