MLBロボット審判は日本人選手に有利か? 専門家が見解…NPB一流打者が持つ独特の「意識」

ドジャース戦に出場したBジェイズ・岡本和真【写真:ロイター】
ドジャース戦に出場したBジェイズ・岡本和真【写真:ロイター】

山本由伸との日本人対決で見送り三振→ボールに変更→二塁打

 今季からMLBに導入された“ロボット審判”は、特に日本人選手にとってプラスに働くかもしれない。ブルージェイズ・岡本和真内野手は7日(日本時間8日)、本拠地で行われたドジャース戦に「5番・三塁」で出場。新採用のABSチャレンジシステムで球審の判定に異議を申し立て、「見送り三振」の判定が「ボール」に覆る一幕があった。

 ドジャース先発の山本由伸投手との“日本人対決”。7回先頭で打席に立った岡本は、カウント1-2からの外角低めのスライダーを見送り、球審は「見送り三振」の判定を下した。ここで岡本は即座にヘルメットを叩き、高性能カメラを備えた“ロボット審判”に判定を委ねる意思を示した。

 その結果、判定は「ボール」に変更。その後、カウントが3-2になると、岡本は外角低めの154キロのシンカーを逆らわずに打ち返し、右中間を破る二塁打を放った。二塁ベース上で右拳を握りしめガッツポーズ。本拠地ロジャース・センターに詰めかけた4万991人の観客が、最も沸き上がった瞬間だった。

「岡本は今季開幕直後、明らかにボールの球をストライクと判定されたのに、チャレンジしなかったことがありました。メジャー1年目で遠慮があったのかもしれません。しかし、それも払拭しましたね」。こう指摘するのは、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在MLB中継の解説などで活躍中の野球評論家・新井宏昌氏だ。

 さらに「日本のプロ野球で一流の実績を持っている選手はみんな、しっかり自分のストライクゾーンを認識しています。春季キャンプでも、ブルペンではゴムを張ってストライクゾーンを示し、投手たちはコーナーいっぱいに投げる練習をしていますし、打者もブルペンに足を運び、生きた球を見て、ストライクゾーンを確認します。概ねメジャーリーグの選手よりも、ストライクゾーンに対する意識は繊細だと思います」と見解を示した。

カブス鈴木誠也も「不服そうにベンチへ戻る姿を何度か見た」

 一般的に、MLBの球審のストライクゾーンは外角が広く、内角は狭いといわれてきた。今後はロボット審判の導入で、ルールブック通りのストライクゾーンが厳守されることが期待される。新井氏は「昨季まではカブスの鈴木誠也(外野手)も、外角球をストライクと判定され、少し不服そうにベンチへ戻る姿を何度か見ました。機械で正確に判定されることは、日本人選手にとっていいことだと思います」とうなずいた。

 ただし、チャレンジ権は各チーム1試合2回まで(成功すれば、権利は消費されない)。チーム戦略上、選手がストライクゾーンに自信がない限り、無暗に使うわけにはいかない。

 新井氏は「個人的には、将来的には一歩進めて、全球をセンサーに委ね、ボールがストライクゾーンを通過したら『ピッ』と音がして、球審がそれに従って判定するようなことになってもいいと思います」と私見を付け加える。

 一般的にルールに厳格で几帳面といわれる日本人の特性が、ロボット審判導入で生かされることになるのだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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