中日戦力外→異国に挑戦、直面した“日本との違い” 言語の壁よりも「苦手」な場所

中日時代の後藤駿太氏【写真:小林靖】
中日時代の後藤駿太氏【写真:小林靖】

後藤駿太氏は台湾の中信兄弟で“打撃コーチ”に就任

 オリックス、中日でプレーし、2025年シーズン限りで現役引退した後藤駿太氏が、新たなキャリアを踏み出した。2026年から台湾プロ野球(CPBL)の中信兄弟で打撃メカニクスコーチに就任。現役時代に培った経験と技術を武器に、異国の地で指導者としての第一歩を踏み出している。

 今季から中信兄弟には、ヤクルトで捕手としてプレーした西田明央氏も打撃戦略コーチに就任。「作戦とかデータは西田で、僕はメカニックなので技術指導ですが、2人で協力してやっています」。

 現役時代から技術への探究心は人一倍強かった。オフシーズンには自ら専門家のもとを訪ね、身体の動きや数値を分析。その経験が今になり指導に生きている。「考え方や数値の見方は伝えられると思っています」と意欲を見せる一方で、初の指導者、そして海外という環境に「予想以上に難しいですね」と本音も漏らした。

 特に苦労しているのがコミュニケーションだ。「通訳を介さないといけないので、気軽に『元気?』と声をかけることができない。信頼関係を築くのが大変です」。言葉が通じない分、選手たちに視線を注ぎ「見ているよ」というメッセージを行動で伝え、室内で毎日打撃練習に励む選手や、ウエートに取り組んでいる選手に「頑張っているね」と声をかけるなどしていると、徐々に変化が生まれてきた。

「最近は向こうから『コーチどうですか?』と聞いてくれることも増えました。そこは“計画通り”ですね」

 手応えも感じ始めている一方で、私生活では思わぬ壁にも直面した。大の風呂好きだけに、部屋に浴槽のない生活に戸惑っている。「シャワーと洗面台とトイレが一緒(のスペース)で、ホテルみたいにカーテンで区切れるんですけど、シャワーを浴びていると、トイレの方まで水浸しになるのが苦手で……。文化の違いですね」と苦笑い。それでも「どんな環境にも耐えられるのが僕の強みです。いい経験をさせてもらっています」と前向きだ。

 台湾屈指の人気球団である中信兄弟は、常に結果が求められる環境だ。「日本の方に応援してもらえるのも嬉しいですけど、現地の方に納得してもらえる成績を残さないといけないと思います」。自身はプレーできない立場だからこそ、勝利への責任を強く意識する。「チームが勝つことが絶対条件。そのためにできることをやっていきたいです」。異国の地での挑戦は、まだ始まったばかりだ。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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