なぜ村上宗隆は急失速? 直近打率は失意の「.050」…浮き彫りになる“致命的”課題

98.9マイルのフォーシームを安打にする場面もあったが…
異変なのか、それとも――。ホワイトソックスの村上宗隆内野手は11日(日本時間12日)、敵地でのロイヤルズ戦に「2番・一塁」で先発出場したが、3打数無安打1四球2三振。直近20打数はわずか1安打と苦しみ、打率も.167とらしくない数字が並ぶ。一方で、危惧されていた“弱点”が顕在化したとも言える。
村上は2022年にヤクルトで3冠王を獲得し、日本最強打者としてNPBに君臨した。昨年は故障の影響で56試合出場にとどまったものの、22本塁打をマーク。そのパワーは健在だったが、脆さも同居していた。
三振率は2019年の31.0%から改善傾向にあったとはいえ、2024年は29.5%、昨年も28.6%と依然として高水準。バットに当たらなければ、そのパワーを発揮することはできない。メジャー移籍に際しても米メディアは確実性の低さを繰り返し指摘し、契約は2年3400万ドル(約53億円)と、当初の予想を下回る形での決着となった。
“逆風”の中で迎えた開幕。村上は批判を振り払うかのようにアーチを量産した。メジャーデビュー戦で1号を放つと、そこから3試合連発。メジャー史上4人目の記録を打ち立てた。しかし、開幕から10試合前後を境に、その打棒はぴたりと止まる。何が起きたのか。ここまでの安打内容に、そのヒントが見える。
メジャー初安打となった1号は90.5マイル(約145.6キロ)のカットボール。2号は91.8マイル(約147.7キロ)のフォーシーム、3号は93.2マイル(約149.9キロ)のカットボール、4号は93.9マイル(約151.1キロ)のシンカーだった。本塁打以外はすべて単打。3日(同4日)のパドレス戦では、ディラン・シーズ投手の98.9マイル(約159.1キロ)のフォーシームを逆方向へはじき返す場面もあった。
ただし、「150キロ以上のフォーシーム」に対しては、いまだ長打がない。10日(同11日)時点で、この球速帯のフォーシームに対する打率は.111。三振率17.2%と結果を残せていない。この日のロイヤルズ戦でも、第1、第2打席は変化球でかわされ、第3打席はカウント0-2から94.6マイル(約152.2キロ)のフォーシームに空振り三振を喫した。
ここで見えてくるのは、「打てない」のではなく「打てる球種・球速が限定されている」という構図だ。メジャーの投手たちはその“範囲”を正確に把握し、そこを外さない。結果として、村上は自分の土俵で勝負させてもらえていない。
「村上は150キロ以上が打てない」――渡米前から指摘されていた課題が、開幕ダッシュの後に現実として浮かび上がってきた。データ分析が進むメジャーリーグにおいて、弱点は“突かれる”のではなく徹底的に“突き続けられる”。この環境で求められるのは時間ではなく適応力だ。ここを乗り越えられるかどうかが、日本最強打者の真価を測る分水嶺となる。
(新井裕貴 / Yuki Arai)