“捕手目線”で見たvs.大谷翔平の配球の意図…野口寿浩氏が解説【チャート図付き】
ドジャース・大谷翔平投手は24日(日本時間25日)、本拠地ドジャースタジアムで行われたカブス戦に「1番・指名打者」で出場したが、3打数無安打3三振1四球。最近10試合ノーアーチで、その間41打数7安打(打率.171)1打点の不振に苦しんでいる。現役時代に日本ハム、阪神などで計21年間捕手として活躍し、現在はMLB中継の解説も務める野口寿浩氏が、“敵の捕手目線”で不振の原因と脱出の鍵を探った。
まずは基本戦略。野口氏は大谷の現状を踏まえ、「最近の打撃を見ていると、引っ張りにかかった動きになっていて、体の開きが早い。大谷の調子がいい時には、センターから逆方向(左翼方向)への長打が多い。それはいまやファンもよく知っていて、本人も当然わかっています。しかし、こうすればいいと頭でわかっていても、体が思うように動かない時が、野球選手にはあるのです。今はそういう状態なのだと思います」と分析する。
「敵の捕手からすれば、こういう状態の打者に対する勝負球は外角の変化球。慎重を期すなら、その前に1度インコースの厳しい球を見せておきたいところですが、大谷が最初から強く内角球を意識してくれているのであれば、その必要もないかもしれません」と配球を思い描いていた。
【第1打席】空振り三振
初回先頭。野口氏が事前に描いていた基本戦略通り、カブス先発の右腕ジェームソン・タイヨン投手とカーソン・ケリー捕手のバッテリーは、全6球を外角に集めた。
カウント0-2と追い込んでから、2球続けた外角低めのボール球のチェンジアップは、いずれも見極められたが、真ん中外寄りのカットボールでファウルを稼いだ後、外角高めのスイーパーで空振り三振に仕留めた。
【第2打席】空振り三振
3回無死一、二塁の先制のチャンス。カブス側は初球に外角低めのチェンジアップで空振りを奪うと、2球目に内角いっぱいの148キロのフォーシームでファウルを打たせた。「こういう球を挟むのは効果的ですね」と野口氏がつぶやく。結局カウント1-2から、真ん中外寄りのチェンジアップで空振り三振を奪った。決して厳しいコースではなかったが、タイミングが全く合っていなかった。
【第3打席】四球
【第4打席】空振り三振
3-2と1点リードして迎えた7回2死一塁の場面。カブスのマウンドは左腕のライアン・ロリソン投手に代わっていた。
大谷はカウント1-1から、外角高めの151キロのフォーシームをファウルした際、バットを折った。野口氏は「バットの先っぽに当たりました。バットを折るのは、大谷にしては珍しい。それほど外角球をとらえられていない、半ば“消えている”状態なのだと思います。実際、右の腰の開きが早く、投手側の“壁”が崩れています。これなら、相手バッテリーとしては、『外角低めに変化球を投げておけば、最悪でも“大怪我”はしない』という考えでいいと思います」と指摘した。
結局大谷はカウント2-2から、外角低めいっぱいのスライダーを見送り、三振に倒れた。最後の球はいったん「ボール」と判定されたが、捕手のケリーが今季からMLBに導入されたABS(自動ボール・ストライク判定システム)によるチャレンジを要求し、ストライクに覆った。
死球の影響か、それとも…「打てない原因がわかっていても、どうしても修正できない時がある」
なぜ、これほど外角低めの変化球を打ちにくい状態に陥っているのだろうか。
野口氏は「考えられる理由として、第一に13日(同14日)のメッツ戦で右肩に食らった死球の影響です。あれで深層心理にまで内角を強く意識付けさせられてしまった可能性があります。あるいは、単純に疲労でバットが出にくくなり、無理にバットを早く出そうとするあまり、開きが早くなっているのかもしれません」と考察する。
大谷は13日のメッツ戦の初回の第1打席で死球を受け、それ以降の10試合は41打数7安打(打率.171)の不振。ホームランも前日(12日)のレンジャーズ戦を最後に出ていない事実がある。
「最初に言った通り、打てない原因がわかっていても、どうしても修正できない時があります。特に二刀流の大谷は、打撃だけに集中できない時があるでしょうから、なおさらです。遅かれ早かれ、本来の打撃を取り戻す時が来るとは思います」と野口氏。“その時”を待つしかない。