打者・大谷翔平は不調なのか 本人が語った“違和感”の正体…爆発を感じさせる予兆「84.6」

ドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】
ドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】

「xwOBA」「バレル率」で依然として球界トップクラス

「すごく悪いわけではないけど、今一つかみ合っていないのかなと思います」――4月22日(日本時間23日)のジャイアンツ戦を終え、ドジャース・大谷翔平投手の口から漏れた言葉だ。4月は打率.273、6本塁打、OPS.897の成績で終了。大谷基準からすれば、やや物足りなくも感じる。時にファンから「不調」との声も聞かれるが、実際に“ズレ”が垣間見えた1か月だった。

 本塁打数とOPSはナ・リーグのトップ10圏外。この数字だけ見れば“不調”にも映る。しかし、メジャーで重視される「xwOBA(期待加重出塁率)」は.411でリーグ上位5%に位置し、「バレル率」21.5%も55本塁打を放った昨シーズン(23.5%)に匹敵する数字だ。

 つまり、「打球の質」そのものは依然として球界最高峰であり、内容が必ずしも悪いわけではない。むしろ、内容に反して結果が出ていないといのが現状だ。では、いったいなぜ乖離が生まれるのか。“違和感”の正体ははっきりしている。

 大谷といえば、スラッガーでありながらセンターから逆方向にアーチを描くことのできる稀有な才能の持ち主だ。しかし、今季の打球傾向を見ると、引っ張り率が57.0%に達しており、前年の43.2%から激増。逆にセンター方向は37.8%→21.5%へ減少している。さらに内訳を見ると、プル方向のフライ(Pull AIR%)が24.1%と突出。「引っ張った打球が上がる」傾向が極端に強まっている。

 背景にあるのは、わずかなスイングの変化だ。今季のバットスピードの指標は、過去2年のトップクラスから「上位19%」付近まで落ち着きを見せている。この数値自体の変化に加え、フォーシーム(直球)に対する「Run Value」が-2と例年より苦戦していることから、わずかな振り遅れを防ぐために「意図的にポイントを前に置き、強引に引っ張り込んでいる」可能性が浮かび上がる。

「かみ合っていない」箇所は打球角度にも如実に現れている。2024年は16.2度、2025年は15.0度だった平均角度は今季12.4度まで低下。過去2年間は40%以下だったゴロ率も44.3%まで上昇した。鋭い打球が安打や本塁打になりにくい角度で飛んでいることが、もどかしい数字の要因だ。

ドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】
ドジャース・大谷翔平【写真:黒澤崇】

27日カブス戦で放った6号は逆方向への一発

 では、2026年の大谷は単純に不調なのか。答えは否、だ。

 実は今季、劇的に向上しているのが「コンタクト能力」にある。空振り率は例年リーグ平均を下回り、昨年のパーセンタイル・ランキングは球界下位4%だった。しかし、今季は空振り率が33.4→27.5%、ゾーン内コンタクト率も75.2%→84.6%と向上。バットに当てる精度に関しては、キャリアイヤーとも言える水準となっている。

 だからこそ、修正ポイントは明確だ。引っ張りに偏った打球方向が分散し、センターから逆方向への打球が戻れば、結果は自然と伴ってくる。平均打球角度もわずかに整えば、「あと一歩」で終わっていた打球が長打に変わる。現在は、新しく手に入れた「高いコンタクト能力」と、本来の「長打力」を融合させるための微調整段階ともいえる。

 大谷は「かみ合っていない」のあとにこうも言った。「例年の春先の感じ」。5月、6月に大爆発するのが大谷という存在だ。26日(同27日)のカブス戦で放った12試合ぶりの6号は、大谷らしい逆方向への一発だった。

 すでに予兆を感じさせている。そして、爆発するだけの下地はある。大谷の“復活”は、もうすぐそこだ。

(新井裕貴 / Yuki Arai)

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