新助っ人の「意欲は買いますけどね」 攻守で躍動もはらむ“危険性”…首脳陣が慎重になる理由

4日の試合で単独三盗失敗…打席は4番のネビンだった
■西武 10ー2 ソフトバンク(5日・ベルーナドーム)
西武の新外国人選手が、日に日に存在感を増している。アレクサンダー・カナリオ外野手だ。25歳と若く、打率.230、1本塁打、13打点(5日試合前時点、以下同)の数字以上に、躍動感あふれる積極果敢なプレーでチームを活性化させている。一方、勢い余って“独りよがりな盗塁”も散見され、首脳陣が慎重に見守っている状況が続いている。
この選手には“危険な魅力”がある。4日に本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦では、4試合連続となる「1番・右翼」でスタメン出場。2回先頭で内野安打を放ち出塁すると、1死後、3番・渡部聖弥外野手の中前打で二塁に進む。打席には、初回の第1打席で先制2ランを放っている4番タイラー・ネビン内野手が立った。
その初球に、カナリオが“まさか”の三盗を仕掛ける。判定は「アウト」。カナリオ自身が味方ベンチへアピールしたこともあって、西口文也監督がリクエストを要求したが、リプレー検証の結果、判定が覆ることはなかった。
快足の持ち主のカナリオには、基本的にグリーンライト(ノーサインで、自分の判断で盗塁してよい権限)が与えられている。しかし、一般的に「三盗は成功率100%の自信がない限り試みてはいけない」とも言われている。ましてや、打席に絶好調の4番・ネビンがいた場面である。西口監督は試合後、「意欲は買いますけどね……。あそこは100%の確信を持って行ってほしかったところで、(結果的に)アウトになったので、自重してほしかったところですね」と複雑な表情を浮かべた。
6日前の4月28日、日本ハム戦でも同じようなシーンがあった。1点ビハインドで迎えた9回の攻撃。1死からカナリオが高々と打ち上げた飛球を相手が落球し、一気に二塁を陥れた。そして、次打者・林安可外野手の3球目に三盗。相手捕手の送球がワンバウンドとなり、セーフにはなったが、タイミングは微妙だった。西口監督は「みんながびっくりしたんじゃないですか。タイミングはアウトだったので」と目を白黒させ、「次の塁を狙う姿勢は、どんな時にも見受けられる」と評価した上で、「(三盗の是非は)ちょっと考えます」と言葉を濁していた。
4試合連続1番で出場「あれだけしっかりスイングされたら相手投手は嫌がる」
カナリオ自身は「自分にとって走塁は、守備や打撃と同じくらい大事にしているものです。ホームに近い塁にいるほど、得点の可能性が上がります。(4月28日の三盗は)初球からタイミングを測っていて、行けると思ったので走りました」と説明している。
黒田哲史内野守備走塁コーチは「(4日の三盗失敗は)打者がネビンだっただけに、失敗してはいけないところでした。頭ごなしに否定してしまうと、彼の良さを消してしまうことになるので、少しずつ教えていこうと思います」と語る。一方で、思い切りのいいスイングを見せる打撃では、1日のロッテ戦以降4試合連続で1番で起用。開幕から22試合連続で1番を務めていた桑原将志外野手が4月21日のソフトバンク戦で左ふくらはぎ肉離れを発症し、戦線離脱した穴を埋めている。今月2日の敵地でのロッテ戦では、“逆方向”の右中間席中段へ来日初本塁打を放った。
カナリオが1番を務めた時の成績は、打率.267(15打数4安打)、出塁率.353、1本塁打3打点と上々。西口監督は「初回の先頭打者から、あれだけしっかりスイングをされたら、相手のピッチャーは嫌がります。そういうところを含めて一生懸命頑張ってくれているので、いいと思います」と高く評価している。
そんなカナリオを仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチも「打撃に関しては起爆剤的なところがありますし、盗塁にも本人のアグレッシブな気持ちが出ている。失敗もある中で、いろいろ覚えていってくれれば……」と前向きに評価する。
強肩と快足を誇る外野守備では、エラーは記録されなくとも、飛球に追いつきながらグラブに当てて落とし“球際の弱さ”を露呈してしまうシーンが何度かあった。最近では試合終盤に守備固めを送られるケースも目立つ。
まだ若いだけに、実績型というより“成長期待型”の助っ人ともいえる。いろいろな意味で、しばらくはカナリオから目が離せない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)