開幕投手も3敗目…25歳エース候補が直面する“試練” 課せられた課題、芽生えた自覚

渡邉が今季3敗目、3点リードを守れず5回6失点で降板
■ソフトバンク 6ー4 西武(5日・ベルーナドーム)
今季初めて開幕投手を務めた西武の渡邉勇太朗投手が5日、本拠地ベルーナドームで行われたソフトバンク戦に先発したが、5回6失点で3敗目(1勝)を喫した。西口文也監督から2桁勝利を“厳命”されている25歳のホープだが、エースへの道のりはまだまだ険しい。
対策を講じて臨んだはずだった。渡邉は昨季、ソフトバンク戦は4戦4敗、対戦防御率6.52と苦戦。特に元チームメートの山川穂高内野手には打率.455(11打数5安打)、2本塁打と打ち込まれていた。それを踏まえ、2回先頭で迎えた山川に対しては、カットボール、カーブ、ストレートをいずれも外角低めに集めて追い込むと、最後はスライダーを外角いっぱいに決めて見逃し三振に仕留めた。
その裏、バッテリーを組む古賀悠斗捕手が先制3ランを放ち、援護点をもらった。ところが渡邉がピリッとしない。直後の3回、近藤健介外野手に2ランを浴びてあっという間に1点差。5回には庄子雄大内野手、周東佑京内野手の連続二塁打で同点に追いつかれ、なおも1死二、三塁とピンチが続いた。
ここで西口監督は、当たっている4番・栗原陵矢内野手との勝負を避け、申告敬遠で満塁策を取った。開幕投手を任せた渡邉の登板日は、ピンチで勝負するかどうかを、バッテリーの判断を委ねることが多かった。しかしこの日はベンチの指示を優先させた。指揮官は「なんとか追い越されず帰ってきてほしかったので、こちらからの指示で満塁にすると伝えました」と振り返る。
結果的に、この満塁策は失点につながった。迎えた柳町達外野手に対し、渡邉は3ボールにしてしまい、甘く入った5球目のスプリットを捉えられ勝ち越し2点二塁打を許した。西口監督は「最初は真っすぐも変化球もよかったのですが、徐々に甘くなっていった気がします。(柳町には)3ボールになって後手に回りましたね。大事なところで変化球を投げ切れなかったというところではないでしょうか」と指摘した。
開幕マウンド抜擢は指揮官の親心「経験のない投手にやらせたい」
この回、続く山川にも中犠飛を打ち上げられ、5回を投げて7安打4四球6失点。渡邉は「ストレートでカウントが取れず、変化球を狙われる苦しい投球になってしまいました。序盤に3点をもらった中で、それを守ることができずに大量失点してしまったこと、5回で降板してしまったこと、野手の皆さんと中継ぎ陣に申し訳なく思っています」と猛省するしかなかった。
西口監督は昨季終了後、エース・今井達也投手のメジャー挑戦を受けて、「(2026年の)開幕投手は、できれば経験のない投手にやらせたい」と意向を示した。春季キャンプ、オープン戦を経て指名されたのが、昨季自己最多の7勝(9敗)を挙げ、防御率2.69をマークした渡邉だった。実績で勝る隅田知一郎投手が、侍ジャパンの一員として3月のWBCに出場していた事情もあったが、191センチ、103キロの体格に底知れないポテンシャルを秘める右腕に、飛躍のきっかけを与えたかったのだろう。
前回登板の4月28日の日本ハム戦では、白星は逃したものの8回117球4安打1失点。西口監督は「しっかり自覚を持ってやってくれている」と目を細めていたが、2試合続けての快投とはならなかった。
5回6失点の結果に、渡邉は「開幕投手をやらせてもらった自覚、責任感はもちろんあります。開幕投手を務めた投手がふがいないと、チームにとってよくない。チームを助ける投球をしていけたらと思っています」と決意を新たにした。
開幕投手を務めたからには、過去に経験のない2桁勝利も“ノルマ”となる。「西口さんから、そう言われています。『1年(先発ローテの軸で)回ったら、2桁はいくやろう』と。なんとかクリアしたいです」と力を込める。右腕はまだエースへの階段を上り始めたばかりだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)