長期離脱も…落ち込む時間が「もったいない」 DeNA大貫晋一らしい思考、淡々と見据える復帰時期「そこで貢献できれば」

右肩手術後初めての「ライブBP」に登板したDeNAの大貫晋一【写真:町田利衣】右肩手術後初めての「ライブBP」に登板したDeNAの大貫晋一【写真:町田利衣】

大貫晋一が昨年10月の右肩手術後初のライブBP登板

「バットを持っている人間を相手に投げたのは久々ですよ」――。DeNAの大貫晋一投手が、爽やかに笑いながら汗を拭う。5月9日、横須賀市内の2軍施設で右肩手術後初めての「ライブBP」に登板。実に昨年9月26日以来の“対打者”だった。

 東妻純平捕手、小針大輝外野手を相手に投げ込む様子を、リハビリ中の牧秀悟内野手も真剣な表情で見つめていた。「まあでも、もうちょいかかりそうです」と背番号16は偽らざる本音を明かしたが、予定通り、順調に復帰のプロセスを踏んでいる。楽しそうにマウンドに立つ姿が、何よりの“朗報”だった。

 肩の状態は「もう、本当に最後のところだけ、みたいな感じです」と最終段階。「投げられるだけ思い切り投げましたけど、まだ思った数字より2、3キロ遅いので、もうちょっと強く投げても怖くない状態にできたらなと思います。強度を上げたときにどうなるか試したことがないので、そこを試しながら(最後の不安を)取り除いていければ」と現状を説明した。

昨季は2勝6敗で7月21日に出場選手登録を外れた

 2020年に10勝、2022年に11勝を上げた右腕だが、昨季は11登板で2勝6敗、防御率3.09。7月20日の中日戦(バンテリンドーム)での先発を最後に、翌21日に出場選手登録を外れた。

 右肩の違和感から9月26日にファームの試合復帰にこぎつけ2イニングを投げたが、本来の投球とは遠い。「正直、自分の感覚ではかなり悪い方でした。このまま1軍の試合で投げるのは難しいなと思ったので決断しました」。10月23日に右肩鏡視下クリーニング手術(後方関節包切離術)を受けた。

 肩の手術は難しさもある。しばらくはボールを投げられない日々。プロに入ってこれだけ長いリハビリ期間を過ごすのは初めてのことだ。メンタルが落ち込むような日があっても不思議ではない。しかし、そこには大貫らしい“思考”があった。

「あんま落ち込んだりはしていないかもしれないです。だって、仕事なので。リハビリして治すしかない。年齢的にもそんなに先が長いわけでもないので、一日一日ちゃんとやらないともったいないと思いますし。そういう気持ちがあるので、萎えたりとかはないんですよ」

 そう言えてしまうところが大貫の強さだろう。「あとメリハリはつけるようにしています。うまくいかないとき、停滞しているときは、あえて野球から少し離れるみたいな。もちろんやることはやりますけど、そういう時間も大切にしていました」。大好きなサウナに入ったり、散歩をしたりするなど気分転換をしながら、怪我と向き合ってきた。

「1軍で野球をするのが当たり前じゃなかったってことに改めて気付きました」【写真:町田利衣】「1軍で野球をするのが当たり前じゃなかったってことに改めて気付きました」【写真:町田利衣】

立ち返った“原点”「より野球ができる幸せも感じています」

 ルーキーイヤーから1軍で活躍の機会が多かった右腕が、その舞台から遠ざかっていった。しかしそれは、“原点”に立ち返る期間にもなった。

「やっぱり1軍で野球をするのが当たり前じゃなかったってことに改めて気付きましたし、体がいい状態で野球ができるのも当たり前じゃない。健康に野球ができること、1軍のあの大きい舞台で投げられるのは、すごく特別なことなんだなって思いました。いい気付きじゃないですか。やっぱりずっと1軍にいると、それが当たり前になっちゃいますし。そういうのがわかって、より野球ができる幸せも感じています」

 チームの先発陣は、オースティン・コックス投手が左肘内側側副靱帯のインターナルブレース術の手術を行い、今季中の復帰は絶望。ジョン・デュプランティエ投手も上半身のコンディション不良で4月20日に出場選手登録を外れ、直近の復帰は見込めない苦しい台所事情だ。

 今後は再びライブBPに登板する予定の大貫は、「5月中にはいきたいですね」とファームで今月中の実戦復帰を目指す。そして視線を上げて語気を強めた。「夏場はやはりみんな苦しい時期なので、そこでチームに貢献できれば」。満員の横浜スタジアムのマウンドへ、一歩ずつ、確かに近付いている。

(町田利衣 / Rie Machida)

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