「DeNAのリスク高い」電撃トレード 山本祐大“流出”が与える影響…名捕手が危惧する「68.6%」

今季もチーム最多、全試合の68.6%で先発マスクをかぶっていた
誰もが驚いた、前DeNA・山本祐大捕手のソフトバンクへのシーズン中の移籍劇。12日に尾形崇斗投手、井上朋也内野手との1対2の交換トレードが発表され、山本祐は13日に早速、鷹の一員として本拠地で行われた西武戦に「6番・捕手」で先発フル出場した。これには、現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏も仰天したようだ。
ベイスターズOBでもある野口氏は「そりゃ、驚きましたよ。朝起きてネットニュースを見て、びっくりしました。いろいろな背景があるのでしょうが、それを含めても、シーズン中に正捕手を放出するなんてことがあるのかという驚きでした」と語り、「DeNAにとってリスクの高いトレードだとは思います」と見解を述べた。
特に野口氏が危惧するのは、DeNA投手陣への影響だ。「エースの東(克樹投手)は、トレード発表当日(12日)の中日戦で、松尾(汐恩捕手)とバッテリーを組んで6回無失点と結果を出しましたが、それまでは山本祐以外と組んだことがなかったほどですから。他の投手も、山本祐の時の方が安心して投げているように僕には見えました。豊富なキャリア、高い盗塁阻止力などに裏打ちされたものだと思います。その山本祐がいなくなり、どうなっていくのか……」と指摘する。
27歳の山本祐は今季、DeNAに在籍した11日まで、チーム最多の24試合でスタメンマスクをかぶり、35試合中68.6%を占めていた(2022年ドラフト1位で4年目の松尾が9試合、11年目・36歳の戸柱恭孝捕手が2試合)。
DeNAが正捕手の放出に踏み切った要因が、投手陣の強化にあることは間違いない。今季も強力打線がリーグトップのチーム打率.261、1試合平均?4.24得点を誇る一方、投手陣のチーム防御率3.35はリーグ5位だ(成績は13日現在、以下同)。
補強した尾形は、ソフトバンクで今季10試合にリリーフ登板し0勝2敗、防御率3.00。奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は14.25と高い。プロ入り後、1軍で先発したことはないが、2軍では今季2試合に先発し1勝1敗、防御率1.54の数字を残している。

補強ポイントの投手陣にも既存戦力から若手が台頭していた
それでも野口氏は「投手が足りていないのは事実ですが、ここにきて先発で篠木(健太郎投手)、島田(舜也投手)、リリーフで吉野(光樹投手)、若松(尚輝投手)といった若手が可能性を感じさせる球を投げ始めています。昨季オフに右肩を手術した大貫(晋一投手)の復帰も、そう遠い話ではないと聞いています。既存戦力でも上がり目は期待できると思います」と見ている。
一方で「シーズン中のトレードというのは、オフとは違い、足りないところを応急措置的に補う意味合いが強いものです。山本祐を放出してまで投手陣を補強したいのであれば、内野手の井上ではなく投手をもう1人獲った方がよかったのではないかとも思いますし、1対1の形でもっと実績のある先発投手を獲れたのではないか、という気もしてしまいます」と述懐する。
実は、野口氏自身、山本祐とよく似た状況でトレードされた経験がある。ヤクルトで名捕手・古田敦也氏の控えとして知る人ぞ知る存在だった野口氏は、1998年開幕直後のトレードで日本ハムに移籍し、正捕手の座を獲得。2000年に打率.298、9本塁打76打点をマークするなど攻守に活躍した。しかし2002年オフ、交換トレードで阪神に移籍する。当時の報道では、1998年ドラフト1位の實松一成捕手(現巨人バッテリーコーチ)の育成を優先したいのが球団の方針、という見方もあった。
野口氏は山本祐を「NPBでトップクラスの捕手。特に、マスクをかぶりながら打者の反応を観察している点では、1番ではないかと思います。その反応によって、タイミングを外す球を要求したり、上手いリードだなと思うことがよくあります」と高く評価する。
球界に衝撃が走ったシーズン中のトレード。最終的な“損得”が今から気になるところだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)