戦力外で「もう無理」→球団職員に転身決意も… 「お金はなんとかなる」後押しした妻の言葉

楽天、DeNAでプレーした濱矢廣大【写真:町田利衣】
楽天、DeNAでプレーした濱矢廣大【写真:町田利衣】

濱矢廣大投手は2013年ドラフトで楽天入り、2019年3月にDeNAへトレード

 楽天とDeNAでプレーした濱矢廣大投手は、2021年からメキシコ、イタリア、ドバイ、豪州と渡り歩き、今年2月に豪州で永住権を取得した。NPBでの7年間は通算40試合で防御率7.25。2020年限りでDeNAを戦力外になった際には球団職員の打診を受け一度は引退を決意したが、妻の言葉で翻意した。

「あっという間の7年でした。当初は気付けなかったことがたくさんあったので、後悔はあります」

 2013年ドラフト3位でホンダ鈴鹿から楽天入り。背番号「13」と期待の高さは明らかだった。ルーキーイヤーの2014年9月に初昇格すると、プロ初登板初先発で初勝利をマーク。しかしその後は結果を残せず、2019年3月、開幕直前にDeNAとのトレードが成立した。

 環境を変えることは前向きに捉え、「スカッと『行ってきます!』みたいな感じでした」。そうして新たなユニホームに袖を通したが、2019年は2試合で防御率32.40。2020年は1軍登板がないまま戦力外となる。2020年には思うようにボールが投げられず「投げ方を見失った」というほどだった。「騙し騙しでした。マウンドに上がっても野球が楽しいと感じなかったんです」。だから、戦力外で“一区切り”つけようと思っていたが、転機が訪れた。

豪州で取り戻した“自分らしさ”「今、本当に楽しいと思えている」

「当時は『もう無理』と思っていたんですけど、怪我もなかったし、まだ20代後半。『ピッチャーはこれからでしょう』というのが家族の考えでした。『家のことは大丈夫だから、あなたはオファーがある限りどこでも行ってきなさい』という感じで、独立リーグや海外の給料面も『お金はなんとかなる』と。それで考え直して、息子が大きくなって野球をやりたいとなったときに、自分がちゃんと納得してスッキリ野球を辞めていないと教えられないと思ったんです」

 日本に妻と3人の子どもを残して“ジャーニーマン”となったが、いつでもその存在は支えとなっている。5年前に背中を押してくれた家族、自身が下した決断。「実は豪州に来てからくらいなんですけど、ある程度自分の投げ方がわかるようになって、一気に野球が楽しくなって。30歳とかになってからですよ。もし当時辞めていたら今の自分に会えていないので、野球への考えも浅かったかなと思います。しんどい時期があったからこそ、今、本当に楽しいと思えているのかな」。そう話す表情にはもう、一切の迷いもなかった。

(町田利衣 / Rie Machida)

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