まだ7本塁打…大谷翔平に拭えぬ“違和感” 専門家が指摘した2つのズレ、復調に必要な意識

新井宏昌氏が解説…ストライクゾーンの感覚のズレ
復活アーチも、まだ安心はできない。ドジャースの大谷翔平投手は13日(日本時間14日)、本拠地で行われたジャイアンツ戦に先発登板。打者としては出場せず、投手に専念して7回無失点で3勝目を挙げた。「1番・指名打者」で出場した12日(同13日)の同戦は、12試合、53打席ぶりに本塁打をマーク。ただ、安定した内容が続く投球と比べると、打撃は本来の状態とは言い難い。(数字は14日時点のもの)
投手としてメジャートップの防御率0.82を記録する一方、打率.240、7本塁打、17打点、OPS.796の打撃成績は、大谷にとっては物足りない数字だ。現役時代にNPB通算2038安打を放ち、MLBにも詳しい野球評論家・新井宏昌氏は、打撃の調子が上がらない要因の1つに、実際のストライクゾーンと本人の感覚のズレを挙げる。
「今年は内角をライトオーバーしようとする意識が強いのではないでしょうか。凡打もヒットも、右方向への打球が多い。特に左投手の内角はストライクゾーンが自分の体寄りにズレています。バッターボックスのライン上の球も打ちにいっている時があります。そうなると外角の球が遠く見える。ボールと思って見送っても、球審の手が上がる。ストライクゾーンのズレを感じます」
内角のボール球に手を出し、外角のストライクを見送っていては、安打も本塁打も出にくくなるのは当然とも言える。ストライクゾーンの感覚がズレることで、体勢を崩された打撃を余儀なくされるケースも出てくる。「右手一本で打つことも増えます。それでヒットが出ることもありますけど、今のままだと成績を落とす要因になります」と、新井氏は不安な要素だと指摘した。
12試合ぶりの7号は、外角のシンカーを左中間にはじき返し、大谷らしいパワーを見せつけた。本来は広角に長打が出るのが持ち味であり「全方向にホームランを打てるのが特徴で、大谷選手のいいところです。まずは打つ方向を意識してほしい。右方向にこだわらず、センター中心に打つことを目指していくべきです」と力を込めた。

村上と岡本の打撃に感嘆「なかなか見られないと」
今季は日本人打者の躍進が目立つ。メジャー挑戦1年目のホワイトソックス・村上宗隆内野手が15本塁打。ブルージェイズ・岡本和真内野手も10本塁打を放っている。開幕からここまで2人の活躍が際立っているため、大谷の打撃が比較対象になるのは仕方がないところでもある。
村上、岡本は中堅や逆方向への一発も多く「メジャーで日本人選手がバックスクリーン方向にホームランを打つなんて、大谷選手以外は、なかなか見られないと思っていました。凄いです」と感嘆。続けて「2人が大谷選手の本来やるべき姿を示しています」と説明した。
「最近センター方向へのホームランが出ておらず、いま大谷選手は、自分の特徴、良さを忘れているように感じます。バックスクリーンを中心に、その右左に、長く遠く飛ばせるのが特徴なので、そこを目指していければいい。それができれば元の大谷選手に戻るのかなと思います」
12日(同13日)の逆方向への一発は、復調のきっかけになるかもしれない。シーズンはまだ100試合以上残っており、大谷にとって5月は得意な季節でもある。日本人選手の長距離打者の第一人者として、ここから状態を上げていきたいところである。
(尾辻剛 / Go Otsuji)