球団社長から「次の年が最後」 不振、故障、若手の台頭も…中日戦士に戻った“闘志”|球界群像 豊田誠佑#15
元中日・豊田誠佑氏【写真:山口真司】元中日・豊田氏、プロ4年目に西武との日本シリーズに出場
成績がさらにダウンした。元中日外野手の豊田誠佑氏(名古屋市中川区・居酒屋「おちょうしもん」経営)は、プロ5年目の1983年、1軍でわずか1安打に終わった。「気持ちが乗っていなかった」。前年はオープン戦での怪我もあって中堅レギュラーのチャンスを逃したものの、リーグ優勝を味わい、西武との日本シリーズでも適時打を放った。だが、そこからエンジンがかからなかった。中堅の座を勝ち取った平野謙外野手の活躍で「俺はもう終わっちゃったなと思ってしまった」という。
1982年の春季キャンプは中堅レギュラー獲りに向けて充実の日々を送ったが、1983年の春季キャンプは全く違った。わずか1年で豊田氏の立場は完全に様変わり。中堅レギュラーには、走攻守3拍子揃うスイッチヒッターに成長した平野謙外野手が定着。「精神的に駄目だった。(現在の)店の屋号と同じで乗せれば“おちょうしもん”なんですけど、乗らない時は駄目なんですよね」と苦笑する。
豊田氏は1982年3月のオープン戦で死球を受け、右手首を骨折し離脱。その間に頭角を現した平野に中堅手を奪われた。無理して復帰すると今度は右肩痛を発症した。中日は優勝したが、豊田氏の成績は打率.136、0本塁打、3打点。2勝4敗。中日が敗退した西武との日本シリーズもスタメン起用はなかった。4試合に出場し、第4戦では勝利に貢献する中前適時打を放つなど、6打数2安打1打点1四球と気を吐いたが「あまり覚えていないなぁ」とつぶやいた。
2勝2敗で迎えた日本シリーズ第5戦では、平野の右翼線への当たりが塁審に当たり中日がチャンスを逃すシーンもあった。審判は石コロと同じということで“石コロ事件”とも言われているが、この時、豊田氏はベンチにいた。「見ていましたし、(審判を)ヤジりましたよ。何て言ったかは忘れましたけどね。まぁ、でも、あのシリーズは西武が強かったなぁってくらいの印象しかないですね」と日本一を逃がし、むなしそうに話した。
球団社長から「若手が育ってきたし、次の年が最後だよ」
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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