「自分たちがいるのはそういう世界」 DeNA戸柱恭孝が語った正捕手“放出”の1日…伝えた言葉

DeNA・戸柱恭孝【写真:小林靖】DeNA・戸柱恭孝【写真:小林靖】

12日にDeNA山本とソフトバンク尾形&井上のトレードが発表された

 DeNAは12日に山本祐大捕手と、ソフトバンク・尾形崇斗投手、井上朋也内野手との1対2のトレードを発表した。左腕エース、東克樹投手の相棒であり、その時点でチーム35試合のうち、24試合でスタメンマスクを任されていた正捕手の電撃移籍の一報は日本中を驚かせた。

「朝、いつも通りに横浜スタジアムに行ったんですけど、普段いない早い時間に祐大がいたんです。その時にすぐに僕のところにきて『ありがとうございました。お世話になりました』と言ってきたんですよね」

 こう語ったのは、11年目を迎えた36歳のベテラン、戸柱恭孝捕手だった。試合前の全体練習に備えて午前中に球場入り。ロッカールームに入ったとたんに、山本が挨拶に足を運んできたという。

 年齢は9歳違えど、自身が入団した翌年の2017年ドラフトで加入した山本とは、同じ捕手として多くの時間をともに過ごしてきた。面倒を見てきた“弟分”から告げられた突然のトレードに衝撃を受けたのは間違いないが、その一方でプロというシビアな世界に身を投じている“覚悟”も示した。

山本祐大に「また交流戦で会おう」

「驚きはしましたけど、自分たちがいるのはそういう世界ですし、そこは僕たちでコントロールできる部分じゃないので。祐大には前向きになるような言葉をしっかりかけて『また交流戦で会おう』って話をさせてもらいました」

喜びを分かち合うDeNA・戸柱恭孝(右)と山本祐大【写真提供:産経新聞社】喜びを分かち合うDeNA・戸柱恭孝(右)と山本祐大【写真提供:産経新聞社】

 年齢も離れているため「ライバルという感じではないんですけどね」と前置きをしつつ、戸柱は続けた。「まあ、でも、チームに戦える(捕手の)枚数はいるので」。競争の厳しさものぞかせた。

 その日の中日とのナイター前、主将の筒香嘉智内野手が選手を集めた。そこには相川亮二監督の姿もあった。

「ゴウ(筒香)がチームを鼓舞する話をしてくれました。特に僕と松尾(汐恩)にはモチベーションが上がるような言葉もかけてもらいました」

 山本が抜けたことで、これまでベンチを温める機会が多かった戸柱、松尾の両捕手の出場機会は確実に増える。「元々チームのためにとか、どういう状況でも僕はやってきた。そのなかで、自分の出番がより増えるようにと思いますし、今までやってきたことを出していくだけですかね」。

DeNAの松尾汐恩【写真:小林靖】DeNAの松尾汐恩【写真:小林靖】

ベテランが示す矜持「自分なりの役割を」

 入団後、何シーズンも“正捕手複数制”のなかでプレーしてきている。嶺井博希、高城俊人、伊藤光らとの併用を長く経験。そのなか結果を残し、存在感を示してきた自負もある。そして、山本を放出したことで、チームが4年目の21歳ドラ1、松尾の“育成”に力を入れていくであろう方針は戸柱も理解している。

「汐恩や、今日(16日)から古市(尊捕手)が1軍に上がってきましたけど、僕は若い彼らを手助けしながら、自分なりの役割を果たしていこうと思います」。

 ベテランらしく足元を見つめ、柔和な笑みを浮かべた。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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