阪神戦力外→新天地で防御率18.00も…起きた変化 DeNA岩田将貴、「ストライク入れなくちゃ」から脱却できた“言葉”

貴重な“左キラー”となっているDeNAの岩田将貴【写真:町田利衣】貴重な“左キラー”となっているDeNAの岩田将貴【写真:町田利衣】

ファームで防御率0.77…結果を残して5月8日に今季1軍初昇格

 貴重な“左キラー”としての地位確立へ――。阪神戦力外からDeNA加入2年目の岩田将貴投手が、5月8日に今季初昇格した。初登板だった8日はかつての本拠地・甲子園球場での阪神戦。阪神時代にはたどり着けなかった“聖地”だった。

 10-0と大量リードでマウンドに上がると、代打で登場した右打者2人を封じる。小野寺暖外野手には左安打を許したが、左打者の高寺望夢内野手をスライダーで空振り三振に斬った。

「高寺は(阪神2020年ドラフトの)同期なので、抑えられてうれしかったです。タイガースのユニホームではなかったですけど、甲子園で投げるのはプロに入ったときからの1つの目標だったので、実現できたことは自信になりましたし、また投げたいと思いました。甲子園の応援は360度すごくて、敵になると怖かったです」

15日の巨人戦に登板し、2回2安打無失点【写真:小林靖】15日の巨人戦に登板し、2回2安打無失点【写真:小林靖】

 静かに喜びを噛み締めつつ、戦いは続いていく。15日の巨人戦では6回から2番手でマウンドに上がって2回2安打無失点。左打者7人に対しては1安打しか許さず、まさに自身の仕事をやってのけた形だった。

「だいぶ楽に考えられるようになりました」…きっかけはコーチの言葉

 阪神時代は4年間で1軍登板なし。DeNA移籍1年目の昨季、1軍デビューしたが、3試合で防御率18.00だった。それが今季はファームで15登板で防御率0.77と結果を残し、出番を掴んだ。“変身”の裏には、入来祐作2軍チーフ投手戦術・育成コーチの言葉があった。

「僕みたいなタイプは、もっと球数を使っていいし、(カウント)3-2になろうがゾーンをうまく使いながら横に広げて投げるように、と言ってもらいました。ワンポイントでもきれいに終わらせなくていいんだと。ストライクを入れなくちゃいけないってずっと考えていたんですけど、それを言われてからボール球も使いながら投げていくというので、だいぶ楽に考えられるようになりました」

 決して豪速球で打者を封じるタイプではない。変則フォームから繰り出す曲がりの大きなスライダーを武器に、投球術で翻弄する。入来コーチのアドバイスをキッカケに、ストライクを入れようと勝負を焦っていた自分から脱却し、球数を使って打者に的を絞らせない投球ができるようになった。

春季キャンプで選手らと一緒に汗を流すDeNAの入来祐作コーチ(左)【写真提供:産経新聞社】春季キャンプで選手らと一緒に汗を流すDeNAの入来祐作コーチ(左)【写真提供:産経新聞社】

 今季はここまで対左打者の被打率.125(8打数1安打)、対右打者の被打率.500(4打数2安打)。「右にはしっかり打たれているので」と反省するが、左の救援投手としての“道”は確実にある。チームでは開幕から坂本裕哉投手が1人で担っており、すでに17試合に登板。左肩の故障から復帰した石田健大投手が5月2日に1軍に昇格したが、わずか2試合の登板で同13日に出場選手登録を外れている。

「『どんどん自分を出していけ』と言ってくれるので、すごくやりやすい」

 岩田は2020年育成ドラフト1位で阪神に入団。2年目の2022年6月に支配下切符を掴んだが、1軍登板なく2024年限りで戦力外となった。それがDeNAに支配下で拾われると、27歳の今、花開こうとしている。こんな珍しい野球人生もまた、誰かの希望になるはずだ。

“実はユーモア”と同僚たちが次々証言する性格も発揮してチームにも溶け込む。「選手の方や相川(亮二)監督が『どんどん自分を出していけ』と言ってくれるので、すごくやりやすいです」とのびのび左腕を振っている。

「もう今は、とにかく任せてもらえたところでしっかりと投げるだけです。その結果、大事な場面で左バッターを抑えられるというポジションになればいいかなと思っています。それは右打者に対してもそうなので、反省して次に生かしていけるように、日々勉強です」

 岩田にしかできない役割を、全うしていく。

(町田利衣 / Rie Machida)

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