【独自】佐々木朗希は「先発投手として生き残りたければ…」 200勝右腕が指摘する“2つの鍵”と、絶賛する球種「本当にいい球ですから」

ブルワーズ戦で今季3勝目を挙げたドジャース・佐々木朗希【写真:黒澤崇】ブルワーズ戦で今季3勝目を挙げたドジャース・佐々木朗希【写真:黒澤崇】

メジャー通算200勝右腕アダム・ウェインライト氏に単独インタビュー

 ドジャース・佐々木朗希投手は23日(日本時間24日)、敵地でのブルワーズ戦に先発し、5回4安打4奪三振2四球3失点で、今季3勝目を挙げた。24歳の登板を楽しみにしていたのが、米放送局「FOXスポーツ」で解説を務めたアダム・ウェインライト氏だ。カージナルス一筋18年で200勝を重ねた右腕が、一段階上の投手になるために必要なことを説いた。

 試合開始の2時間ほど前、スラッとした長身の男性がグラウンドに入ってきた。2023年に現役を引退したウェインライト氏だ。最多勝2度を誇る名投手に佐々木の印象を尋ねてみると、「今夜解説するのを楽しみにしていたんです!」と気さくな笑顔を見せた。

「昨年のポストシーズンやいくつかの先発登板は見ましたが、生で見るのは初めてなんです。とてもワクワクしていますよ」

 7回1失点で2勝目をあげた17日(同18日)の敵地でのエンゼルス戦に触れ、「本当にしっかりした投球をして、よりストライクゾーン内で勝負できるようになっていました」と称賛。その上で、「先発投手として生き残りたければ、ただ単に投げる人(thrower)ではなく、投手(pitcher)にならなければいけません。彼もそれを身につけ始めているように見えます」と続けた。

ウェインライト氏が推す球種「もっと使うべき」

カージナルス一筋で通算200勝を挙げたアダム・ウェインライト氏【写真:ロイター】カージナルス一筋で通算200勝を挙げたアダム・ウェインライト氏【写真:ロイター】

 throwerではなくpitcher。同じ言葉を信条に、メジャーで21年間戦った投手がいる。ドジャースで2017、18年と2年連続で2桁勝利を挙げるなど、通算90勝をマークしたリッチ・ヒル氏だ。2024年には44歳ながらプレミア12に米国代表として出場。先発した日本戦では4回1安打5奪三振、無失点と好投した。真っ直ぐは140キロ台前半。それでも侍打線は次々に振り遅れた。試合後、ヒル氏はこう口にした。

「“スローイング”じゃなくて“ピッチング”なんです。スピードを変え、タイミングを外す。それがピッチングです」

 ヒル氏もウェインライト氏もスローカーブを操り、緩急で打者を翻弄してきた。ただ速い球を投げればいいわけじゃない。どこに投げるか、どんな球と組み合わせるかが重要だと、己の投球で示し続けてきた。佐々木の場合はどうか。

 ウェインライト氏が推すのは、スライダーだ。

「私は彼のスライダーが大好きです。もっとスライダーを使うべきだと思います。本当にいい球ですから」

 今季の開幕前から先発ローテーション定着の鍵と言われていたのが、フォーシーム、フォーク/スプリットに続く“第3の球種”スライダーだった。今季途中からMLB公式サイトでは佐々木のフォークとスプリットが区別されるようになったが、試合前の時点での投球割合はフォーシーム43%、スライダー20%、フォーク19%、スプリット18%。この日はスライダーが25%と微増した。

 ウェインライト氏は試合中の解説でもスライダーを絶賛。初回1死一、二塁のピンチで6番の好調バウアーを空振り三振に仕留めた場面では「この球が本当に好きです。フォーシームと同じレーンを通ってくる。そしてホームプレートに到達する直前になってようやく急降下するんです。とても高い質で投げ込まれた一球です」と唸った。

初回1死一、二塁で、6番バウアーを空振り三振に仕留めたスライダー(0:07~) MLB FILM ROOM

賛辞を惜しまなかった「立ち直る」力

 佐々木が先発投手としてさらに一皮むけるために必要なものは何か。ウェインライト氏に聞くと、「速球はもっと低めに投げる必要があります」と返ってきた。「高めに投げるのは三振を取りに行く時だけにして、低め、低めです。彼の球は低めの方がより効果的だと思うからです。それは打者の反応を見れば分かります」。さらにもう一つ、ツーシームのような“沈む球”が必要だと見る。

「もし彼が沈む球を身につけて、バットの芯を外し、ゴロを打たせて早くアウトを取れるようになれば、4イニングや5イニングではなく、7、8、9イニングと試合の終盤まで投げられるようになりますからね」

 2009年に233回、2013年に241回2/3を投げて最多投球回に2度輝いたウェインライト氏は、やはり“イニングを食える”投手を高く評価するようだ。この日の佐々木は初回から3安打を浴び、自身の失策、四球も重なって3失点を喫したが、2回から完全に立ち直った。10者連続アウトを記録するなど5回を投げ切り、逆転勝利に繋げた。中継でウェインライト氏は賛辞を惜しまなかった。

「誰だってところどころで打たれるイニングはあります。大事なのはそこからどう立ち直るか、チームに勝つ可能性を残せるかどうかです。それができるのが素晴らしい先発投手というものですし、今日の彼は初回の後からそれができています」

 奪三振は4つだけ。支配的な投球だったわけではない。だが“pitcher”として確かな成長を示した87球だった。

(鉾久真大 / Masahiro Muku)

RECOMMEND

CATEGORY