交流戦好調の巨人 躍動する若手…控えに坂本と丸の切り札、経験と勢いの“両輪”が導く快進撃

得点に沸き立つ巨人ナイン【写真:加治屋友輝】
得点に沸き立つ巨人ナイン【写真:加治屋友輝】

交流戦7勝3敗、浦田、佐々木、中山ら若手たちが白星呼び込む

■巨人 8ー2 ロッテ(5日・東京ドーム)

 巨人が交流戦でロッテに8-2と大勝し、4連勝で貯金を今季最多タイの6に伸ばした。5月26日のソフトバンク戦(東京ドーム)から指揮を執る橋上秀樹監督代行は、就任以来最長の連勝で7勝3敗とした。今のチームには外国人選手を除き、絶対的なレギュラーはいない。固定された主力ではなく、入れ替わる選手たちが白星を重ねている。この試合で見えた“レギュラー”なきチームの強みとは何か。

 かつての巨人とは、明らかに様子が違う。規定打席に達しているのは、ダルベックとキャベッジの両外国人だけ。日々、1、2軍の入れ替わりだけでなく、スタメンでも起こる。“レギュラー争い”ではなく、勝負の秋に向けた“ベンチ枠を争う”戦いにも映った。

 この日も、坂本、丸、大城といった主力をベンチに温存。もちろん、勝負どころで試合を決める切り札として、指揮官が手元に残しているカードだ。だが、この日はそれを切るまでもなかった。浦田、佐々木、中山ら若手たちが、自らの手で白星を呼び込んだからだ。

 そこには、監督代行の「親心」がある。打撃不振で2度の2軍降格をして、失意の中にいた中山にはスタメンのチャンスを与え、打席に入る時にはリラックスができる言葉をかけた。その言葉に象徴されるように、橋上代行は若い選手に「きっかけ」を与えたい。そして、その背中を押すように、自ら仕掛けていった。

 1点リードの6回無死一塁。追加点が欲しい場面で、橋上監督代行はバスターエンドランのサインを出した。だが、浦田はバットに当てられず空振りに。それでも、走者・泉口がしっかりとスタートを切って盗塁を決め、得点圏へ走者を進める。サイン通りには動けなかった浦田も、アグレッシブな采配に背中を押され、下を向くことはない。追い込まれてから強気のバスターを決め、右前へはじき返した。

 つながりは、止まらない。続く、佐々木の適時打、中山の走者一掃3点二塁打などで、この回一挙5得点。中山はこの日、自身初の5打点と躍動した。初回には浦田がセ・リーグトップタイの15盗塁も決めるなど躍動。「活発でない中でも、つながりで点が取れるようになってきた。全員で1点。ああいう点の取り方ができれば、打線はいい方向に向かう」。指揮官の言葉はそのままグラウンドで形になっていた。

ロッテ戦の指揮を執った巨人・橋上秀樹監督代行【写真:加治屋友輝】
ロッテ戦の指揮を執った巨人・橋上秀樹監督代行【写真:加治屋友輝】

若手には心強い“後ろ盾”

 指揮官の言葉には、続きがあった。6回無死一塁の場面に話を戻す。「作戦的にはバスターエンドラン。残念ながら浦田は空振りでしたが、泉口選手がしっかりスタートを切ってくれて、攻撃がつながった。バッターのミスをランナーがカバーしてくれた。次回は、失敗がないように……。もしあったとしても、どちらかが助けられるようにしていければといい。これはお互いさま、です」。橋上代行は、そう振り返った。次は失敗をしないように。だが、もし誰かがしくじっても、別の誰かが助けられるように――。その「お互いさん」の発想は、ミスを責めるのではなく、ミスを前提に支え合うチームをつくる。

 若い選手にとって、これほど心強い後ろ盾はない。失敗を恐れずにバットを振り、迷わず次の塁を狙える。若手が躍動する一方で、接戦になればベンチには切り札が控える。丸は3日のオリックス戦で、代打逆転満塁本塁打を放ってみせた。頼りになる坂本だっている。若さと経験、その両輪がそろう。だが、車輪を本当に回しているのは、もっと根っこにある一つの発想だった。

 この日は完投勝利を挙げた先発の井上のテンポの良い投球も見事だった。一人の空振りや凡退を、仲間が取り返してくれる。その安心感が、思い切りのよさに変わる。橋上代行が創り出しているのは、若手が臆することなく自分を出し切れる空気そのものだ。レギュラーのいないチームを誰よりも強くしているのは、互いを信じて振り抜く、その思い切りなのかもしれない。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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