18歳の投手・大谷翔平と対戦…打席から聞こえてきた本音「こんなの投手一本じゃない?」

台湾プロ野球で審判を務める木内九二生さん…NPBでは28年間の経験
2026年シーズンから台湾プロ野球(CPBL)で審判を務めている木内九二生さん。NPBでは28年間にわたってジャッジを続け、数々の名場面に立ち会ってきた。新たな舞台を台湾に移した今、日本での思い出を振り返った。
長い審判人生の中でも、特に印象に残っている試合として挙げたのが、楽天が球団史上初の日本一に輝いた2013年の日本シリーズの第2戦だ。
球審を務めた一戦は、楽天の田中将大投手(現巨人)と、巨人の菅野智之投手(現ロッキーズ)による投げ合い。田中が毎回の12奪三振を奪い、3安打1失点完投勝利を収めた名勝負だ。「田中投手、菅野投手ともに素晴らしいピッチングで、本当にいいゲームでした。私自身、日本シリーズで初めて球審を務めた試合でもあったので、とても印象に残っています」。球場全体を包む独特の緊張感。その中心に立ちながら、歴史的な一戦を見届けた。
2023年には、北海道に誕生した新球場の最初の公式戦にも立ち会った。日本ハム-楽天の開幕戦。エスコンフィールドのこけら落としゲームで、木内さんは球審を任された。「素晴らしい球場の最初の試合で球審を務めさせていただいたのも印象深いですね」。日本ハムを率いる新庄剛志監督とのエピソードも明かす。「ピッチャーにボールを投げ返した後、ベンチから『今日も球、伸びてますね』みたいなしぐさをしてくれるんです。審判にも気配りを忘れない。『一緒に頑張りましょう』というリスペクトを感じる監督です」。試合中の張り詰めた空気を和ませてくれる存在だったという。

楽天の嶋基宏が変化球にのけぞり、真っ直ぐに「すげー」
数多くの名選手を見てきた木内さんだが、今でも鮮明に覚えている“衝撃”がある。2013年3月21日、東京ドームで行われた日本ハム-楽天のオープン戦。大谷翔平投手の投打二刀流がお披露目された日だ。8回表に「3番・投手」として登板、9回表には打席にも立ち、のちに球界の常識を覆す挑戦が始まった。
「楽天の嶋(基宏・現中日ヘッドコーチ)捕手が、変化球にのけぞり、真っ直ぐには『すげー』と言って『これもう絶対ピッチャーでしょう。こんなの投手一本じゃない?』と打席で話していたのをよく覚えています」
当時はまだ打撃を見ていなかったため、まず衝撃を受けたのはボールの質だったという。「体は細かったですけど、高校を出たばかりでこれはすごいな、と感じました」。その後、世界最高峰の舞台へ羽ばたいていった大谷。木内さんにとっても、伝説の始まりを間近で見届けた忘れられない瞬間となっている。
日本で積み重ねた28年間の経験を胸に、台湾で新たな挑戦を続ける木内さん。台湾のグラウンドで刻まれる新たな記憶も、木内さんの審判人生を彩る大切な1ページになりそうだ。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)