衝撃数値“12.76&35.1”…西武19歳が無双できるワケ オフに激変、胸に秘めるダルの金言

奪三振率を意識「ピンチで三振を取れる投手でありたい」
西武の新星がまばゆい輝きを放っている。弱冠19歳の最速158キロ右腕、篠原響投手だ。高卒1年目の昨季、早くも1軍で2試合に先発し、今季は主に中継ぎを任され、19試合1勝1敗1セーブ13ホールド、防御率1.47とピカイチの好成績を挙げている(成績は8日現在、以下同)。昨季に比べると球速が概ね5キロアップし、新球種「キックチェンジ」も習得。飛躍の理由を本人に聞いた──。
今季の篠田で特筆すべきは、奪三振能力の高さだ。奪三振率(9イニングあたりの平均奪三振数)は驚異の12.76。9.00を超えればエース級と言われる中、リリーフとはいえ異次元の水準にある。また、K%(対戦打席で三振を奪った割合)も、平均値の18%の倍近い35.1%を誇っている。
篠原自身「やはり、狙って三振を取れるピッチャー、ピンチで三振を取れるピッチャーでありたいので、Kパーセント(奪三振率)は凄く気にしています」と言い切る。
福井工大福井高からドラフト5位で入団すると、ルーキーイヤーの昨季、早くも2軍で先発ローテーション入りを果たし、16試合8勝5敗、防御率2.20をマークした。シーズン終盤には1軍昇格。ここでは2試合に先発するも、厚い壁に跳ね返された格好で0勝1敗、計7回8失点で防御率10.29に終わった。
しかし、その悔しい思いが2年目の飛躍のバネとなった。「1軍で投げた時、まずスタミナがすごく足りないと感じました。それに、決め球。2軍で空振りを取れていたチェンジアップが、1軍では振ってもらえない。決め球を磨かなければいけないということは、コーチにも言われました。1軍でやるためにはこういうことが必要なのだと、知れたことは良かったと思います」と振り返る。

鷲づかみ→中指をボールに突き立てる握りが特徴「より落ちる」
今年1月、課題克服を期して同僚の平良海馬投手に“弟子入り”。沖縄・石垣島での自主トレに約20日間、3年目の成田晴風投手らとともに参加した。「自分がやっていたものとは種類も、重さも全然違うウエートトレーニングを教わりました。今シーズンが始まってから、いい影響が出ていると思います。そもそも、なぜこのトレーニングをするのかを追究することの大切さを学ばせていただきました」と語るように、重要なターニングポイントとなった。
課題の1つに挙げた“決め球”も、昨季までのチェンジアップに代わり、近年メジャーリーグなどで徐々に広まりつつある“キックチェンジ”を導入した。
以前のチェンジアップは鷲づかみのようにして投げていたのに対し、キックチェンジは中指をボールに突き立てて握るのが特徴だ。「平良さんの自主トレに、変化球の専門家の方がいらしていて、その方と一緒に決め球を試行錯誤していく中で辿り着いた球です」と明かす。「中指を立てることによってトップスピン成分が加わり、より落ちます。春季キャンプの段階で、これを決め球として右打者にも、左打者にも使おうと思いました」と言うほど手応えがあった。実際にスタミナ増強、球速アップと共に、キックチェンジをものにしたことが、篠原の快進撃の大きな要因となっている。
そして平良の自主トレに参加したことと共にもう1つ、今季開幕前のトピックとなったのが、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を控えた侍ジャパンのサポートメンバーに選出されたことだった。侍ジャパン帯同はわずか1日だったが、2月23日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われたソフトバンクとの強化試合に先発。相手の主力を1回無安打2奪三振1四球無失点に封じた。
能見篤史投手コーチの背番号「84」のユニホームを借りての登板だったが、あらゆるカテゴリーを含め日本代表入りは初めて。「一緒にフィールドに立てただけでも新鮮でしたし、そういう世界が見られただけでも凄い経験でした。(侍ジャパンが)身近になったというか、目指すところでもあるかなと思います」と語る言葉が弾む。
新人王資格保持も「自分で操れる数字を追い求めたい」
ひなたサンマリンスタジアムの食堂で、侍ジャパンにアドバイザーとして参加していたパドレスのダルビッシュ有投手からアドバイスを受け、ツーシームを伝授される時間もあった。身長178センチの篠原は、196センチのダルビッシュを仰ぎ見て「凄く大きいなって、思いました」。教わったツーシームは今季、実戦に導入している。「まだほんの数球で、今季中に武器になるかどうかわかりませんが、これから先、磨きをかけていきたいです」とうなずく。
19歳にして物おじする様子もなく、1軍の強打者たちを相手にポーカーフェイスで快速球を投げ込み続ける姿は実に頼もしい。自分の性格を「芯があって、他人に流されず、継続力はあるかなと思います」と分析している。
一方、2年目だが、新人王の資格を残している。今後、同僚のドラフト2位ルーキーで既に17セーブをマークしている岩城颯空投手との争いになる可能性もある。しかし、篠原自身は「自分としては、そんなに意識するところではないです。やはり自分で操れる数字を追い求めたいので。シーズンが終わった時に、結果的にもらえたらいいなと思います」。今のところ、記者投票で決まるタイトルへのこだわりは無い。
「これまで中継ぎをやったことがなかったので、具体的な目標は設定していないのですが、今は1つでも多く、チームの勝利に繋げられたらいいなと思っています」と述懐する。ポテンシャルあふれる19歳はあくまで、自分の足元を見つめながら、着実に成長のステップを踏んでいく構えだ。