対照的な主砲が描くV3への道 近藤健介と栗原陵矢、なぜこの2人がパ・リーグの「最強」なのか

卓越した選球眼で出塁を重ねる近藤

 ソフトバンクの栗原陵矢内野手が本塁打と打点の2部門でパ・リーグのトップに立ち、交流戦終了時点でOPS.918を記録する圧倒的な活躍を見せている。そして、同じくソフトバンクに所属する近藤健介外野手が、栗原を上回るOPS.960という数字を残している。

 今回は、近藤と栗原がこれまで記録してきた各種の指標と、実際のデータに基づく選手としての特徴を紹介。両選手が高い生産性を示している理由について確認するとともに、栗原が今シーズンに入ってから示している「変化」についても見ていきたい。

 近藤は故障の影響で規定打席に到達できなかったシーズンが存在するものの、2017年から9年連続で打率.298以上を記録するなど、出場した試合では常に安定した打撃を見せ続けている。それに加え、出塁率も2017年から9年連続で.410以上と優れた水準を維持し、4度にわたって最高出塁率のタイトルを手にしている。

 さらに、四球を三振で割って求める、打者の選球眼を示す指標の一つである「BB/K」は、キャリア通算の数字が1.062と非常にハイレベルで、今季のBB/K.950という数字も現時点でリーグトップ。これは、ボールの見極めがリーグトップクラスの能力を持つことが示されている。

 打率と出塁率の差を示す、同じく選球眼を示す指標の「IsoD」も、キャリア平均.111と、優秀とされる.100を大きく上回る。2017年から9年連続でこの基準をクリアしており、長年にわたる卓越した選球眼は近藤の非凡さの証といえる。

移籍後に覚醒した長打力と、高まる生産性

 2020年以降は長打率が6年連続でキャリア平均を上回るなど、近年は成績に変化が見られる。本塁打・打点の2冠王に輝いた2023年を筆頭に、移籍後は強打者としての側面が際立っている。

 長打率から単打の影響を省いた、“真の長打率”ともいわれる「ISO」は、移籍初年度の2023年から2年連続で.200を上回った。2025年も.191と安定した数字を残し、今季は.259と自己ベストの水準に達するなど、さらに長打力に磨きをかけている点も頼もしい。

 本塁打を1本放つまでに必要な打数を示す「AB/HR」はキャリア平均で39.22と、約40打席に1本のペース。2023年以降は3年連続で26以下を記録。本塁打王に輝いた2023年には18.92と自己最高をマークし、打者としての価値をさらに高めている。

 その結果、2023年以降は3年連続でOPSが.900を超え、2023年と2024年は2年連続でリーグトップを記録した。また、故障の影響で規定打席未到達ながら、2025年もOPS.903をマークしており、規定打席到達者の中で最も高いOPS.861を記録したフランミル・レイエス外野手を上回る数字だ。

昨季に比べて積極的な打撃スタイルに回帰

 続いて、栗原の指標に目を向けると、キャリア通算打率.262、出塁率.328、IsoDは.067と、概ね基準値に近い値を残している。BB/Kのキャリア平均も.472であり、規定打席到達者26人のうち19位と、選球眼に関する指標は際立って高い水準にはない。

 2025年にはIsoD.090、BB/K.597と改善の兆しを見せたものの、2026年はIsoD.061、BB/K.386とキャリア平均を下回っている。じっくりとボールを見極めた昨季の経験を経て、今季は積極的な打撃スタイルへ回帰した結果、好成績を残している点は興味深い。

 一方で、今季のAB/HRはリーグトップの12.95と大幅に向上し、キャリア平均の倍近いペースで本塁打を量産。ISOもリーグトップの.305と驚異的な水準に到達しており、指標からも劇的な長打力の向上が見てとれる。

 今季の長打率.581はキャリア平均を大きく上回り、より多くの塁打を生み出せる打者へと進化した。その結果、OPSは自己最高の.918を記録。優れた選球眼でOPSを稼ぐ近藤とは対照的に、長打力によってOPSを飛躍させた打撃スタイルは、まさに好対照といえる。

連覇の鍵を握る、打線の核となる2人の主砲

 最後に、「BABIP(インプレー打率)」にも触れておきたい。これは本塁打を除くインプレー打球が安打になった割合を示し、運に左右されやすい側面があると考えられている指標だ(基準値.300)。近藤のキャリア平均は.348と高く、左打者の特性と強い打球で安打を積み重ねてきたことがわかる。

 一方、栗原の通算BABIPは.288と基準値を下回っており、これまで運に恵まれてこなかったことを示唆している。しかし、今季のBABIPは.283とキャリア平均より低いにもかかわらず、好成績を維持している。本塁打がBABIPの計算対象外であることを踏まえると、今季の栗原の活躍は運ではなく、実力の成長によるものであるといえるだろう。

 それぞれリーグ1位と2位のOPSを誇る近藤と栗原は、現在のソフトバンク打線にとって大きなストロングポイントだ。卓越した選球眼の近藤と、抜群の長打力を開花させつつある栗原。タイプが大きく異なる2人が並ぶ打線は、打線全体のバランスを考えれば大きな要素と言える。

 今季、栗原が自身初タイトルを手にすることができるか、そして近藤も自身5度目の最高出塁率や2度目の打点王といった主要タイトルを射程圏内に収められるか。リーグトップクラスの生産性を誇る主砲コンビの活躍が、リーグ3連覇を目指すチームの浮沈を握る要素にもなり得そうだ。

 ※成績は2026年6月14日終了時点

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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